これは悲しい劇だ。


 この劇の主演は純粋な少女。

 明るい希望に満ちた作品になるかと思われましたが、観客は誰もおらず、作者の都合でプロローグだけで幕を降ろしてしまったのです。

 続きを待ち望んだ少女。再び幕が上がったのは二年後。観客席には血塗れの作者がひとり、こちらを睨みつけていて……



 何という悲しいお話でしょう。

 最も信頼していた人物が死に物狂いで自分を殺しに来るだなんて。

 自分も多少書いている者として、作者の怒気も分かってしまうのが遣る瀬無い。

 寂しさの残る終わり方も印象的でした。