05 over extended.
なぜか、彼女が追ってきて。なぜか、路端のみずたまりでじゃれあって。互いに、服がびしょびしょになった。
でも、なぜか、お互いに。通じ合うものがあった。まだ、出会ってから1日しか経っていない。それでも。自分は彼女のことが分かるし、彼女も自分のことを分かっている。
「戻りましょう。とりあえず、ホテルに」
手を繋いで、ふたりでホテルまで歩いた。通行人の誰も濡れていないし、傘すら差していない。ふたりだけが、びしょびしょ。示し合わせたように。ふたりで傘を差して。ふたりでそのなかに入った。
「日傘ですね」
雨は上がって。
晴れていた。
「お待ちしておりました。お連れさまとご一緒ですね。同じ部屋をご用意しております」
なぜか全てを見通したふうのフロント。ホテルの玄関に立っている。
「傘はこちらで預からせていただきます。あっ第2エントランスからどうぞ。お二方ともびしょびしょなので」
もういちど、ふたりでお風呂に入って。今度はふたりで眠ろう。一緒に。
あの日も雨だった 春嵐 @aiot3110
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