プロローグ 3

「はぁ、家族ですか……」

「そう! 幸助くんに家族になってくれる人が現れたの」

 珠良さんが嬉しそうに報告をしてきた。

「……」

 家族。その言葉が俺は嫌いだった。

 前の家のことを思い出してしまうから。

 母親と父親が酷く喧嘩ばかりしていた。

 それで離婚し父親と住むことになったが暴力である日なんの前触れもなく蒸発した。

 叔母の家に引き取られることになったが毎日のように金、金、金。

 口癖のように金の話しかしなかった。

「勉強は好成績を残しな! それでいい受験に入学してあんたが大人になったら高収入を貰ったら全額私に渡せ!」

 父親と同じように毎日カップ麵。それでいつも友達とどこか出かけるといって顔を合わせることはなく、話をしようとしても無視をする。話をしたと思ったら金の話しかしない。

 公園とかで見かける他の人が親子であるのが羨ましかった。 

「家族……か」

 なんで自分には両親がいないのかずっと悩んでいた。

「お兄ちゃん! 早く早く!」

「ちょっと速いってば!」

「……」

 兄妹がをかけっこしているのが目に入った。

「あれが兄妹か」

 せめて兄妹がいたら少しは違ったのかな……。

 少し願いだけど優しいお姉ちゃんなんていたら楽しいのかな。

 想像はしてみるもが家族ってどうゆうのはわからなかった。

 叔母のお金と罵倒の言葉に耐えられなく。俺は勉強するやる気がをなくしていて毎日0点だった。 

 その後施設に生活をすることになった。

 

「――すけくん。幸助くん?」

「――あっ」

 珠良さんのに呼ばれた。ふと我に返った。

「大丈夫?」

 心配そうに顔を覗き込んできた。

「すいません大丈夫です……。親になってくれるっといった話でしたよね」

「そう、一度でいいから会ってみないかしら」

「俺、15ですよ。俺よりもチビッ子たちの方が良いと思うんですが?」

 小さい子供の方が小学生とか中学とかの成長を色々と見れると思う。

「それでも幸助くんの方がいいと思うわ私は。……あなたに一番会わせたい人だから」

 珠良さんがそれでも笑顔だった。

 まあ、それでも珠良さんがこうして紹介してくれるから顔だけでも挨拶にいこうかな……。

「わかった」

「――っ!! 本当に会ってくれる?」

「話を聞くぐらいなら……。それでも申し訳ないですけど少しでも無理だったら」

「えぇ、それでも構わないわ」

 後日。その新しい親に会うために待ち合わせの場所として喫茶店に紹介された。

「いらっしゃいませ~」

 店員に案内され、その親だという人と対面をした。

 席を見てみると二十歳を後半ぐらいの男女が座っていて向かい側の方に俺と上ぐらいな人が座っていた。

「……どうもはじめまして」

「初めまして君が幸助くんで良いのかな?」

 爽やかな男性の方から話しかけてきた。

「……そうです。はい」

「そっか、それじゃあなんか座って話そうか。あと、なにか食べたら遠慮なく頼んでくれていいから」

「えっと、はい」

 座るところ……。

 向こうがわには席が埋まっていて座れはしない。この女性の隣しか席がないかなった。

「……っ」

 ……ん?

 なんか見られている気がする。

「……えへへ」

 なんか笑っていた。

 この人は一体誰なんだろう。

 多分。この人たちの子供なんだろう。挨拶だというから連れてきた。そんなところかな。

「……」

 ふと髪に付けていたヘアピンが気になる。

 よく見てみると数年前に彼女にあげたヘアピンと似ていた。

 ……やっぱり俺があげた似ている。穂乃果。元気にしているかな。

 この時でもやっぱり穂乃果のことが気になってしまう。

 多分。穂乃果も新しい親で不安だっていう気持ちを穂乃果が出る前に聞いていたのかもしれない。

 だから今、穂乃果のことが気になったのだろうな。

 手紙って送れたり出来るのかな……。それだったら後で珠良さんに聞いてみようかな。

「……」

 すると向こうの男性がこっち側の席に話しかけてきた。

「良かったな穂乃果。久しぶりに会えて」

「ありがとうお父さん。こうしてまた〝弟〟と会える機会をくれて」

「……?」

 穂乃果?

 そう、はっきりと彼女が名前が聞こえた。

「……えっ?」

 俺のことを弟っていうそれと彼女にプレゼントを渡したヘアピン。 

 そして横顔をはっきりと見つめた。

「ほの、か……」

 隣に穂乃果が座っていた。

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