第7話

昨日は色々あったな。

そのせいかあまり眠れなかった。

隣を見ると、ぐっすり寝ている朱凛がいた。

あどけない顔。無防備な奴だ。

今日は、城に顔を出そう。

しかし、その前に情報屋に会うか。

俺は人を滅多に信用しない。

そんな俺があいつだけはずっと信用してきた。

久々だし、土産でも買って尋ねるか。

そう考えた時、

「シンクーおはよう!早いね!」

やっとお目覚めのようだ。

「おはよう朱凛!今日俺は城に行く。

お前はここで待っててくれ。

城は色々厄介な事があるからな。

それに城に出向く前に野暮用もあるしな!」

すると朱凛は思いがけず反抗した。

「嫌だよ!シンク。もう私に隠し事はやめて!何でも話して!

この世界の人間じゃない私にはシンクしかいないんだよ。

シンクを信じたい。けど、私まだシンクの事全然知らない。

何もわからないんじゃ不安ばかりだよ。お願い!シンク!私には何でも話して!そして置いてかないで。どうしても無理な時は諦める。けどなるべく私をどこか行く時は連れて行って欲しいな。」

朱凛は真剣な目で俺を見つめている。

どうするべきか。

出来れば城には連れて行きたくない。まだ朱凛には知られたくない事が多いからな。

しかし、確かに何でも秘密と言うのも信頼関係を築くには良くないよな。

俺は決意した。

「わかった。今出来る限りの情報と、なるべくこれからはお前を連れて出歩くよ。」

朱凛は珍しく低く小さな声で

「ありがとう。」と呟いた。

「じゃあまず俺の事を説明するよ。

俺はある使命を背負っている。

これには俺の両親が関係してるけど、そこはまだ言えない。

この使命を受けるのは2度目。

使命の始まりは異世界から来た女の子が使者によって俺の元に導かれる事。

お前が使者に連れられて来たあの日のように。

そして、その女の子と共に使命を全うする。

俺はその為の力。この世界で俺しか使えない魔法をこの身に宿している。

超絶神聖召魔法と呼ばれる魔法で、魔法帝に選ばれた者だけに与えられる魔法なんだ。

この魔法は生きてる。

生物とはちょっと違うけどな。

そんなんで、俺にはいくつか制約がある。それが面倒だから、今まで人を避けてずっと引きこもってきたんだ。

でも今は使命を受けた身だからな。

動かないといけない。

この国も含めて、これからいくつかの国を渡り色々な人達に会う事になる。

争いも起こるだろう。

けど、これだけは約束する。

俺は使命を全うするその日まで必ずお前を守る。

何があろうと朱凛の手を離さない。

だから、俺を信用してくれないか?」

朱凛はしばらくの沈黙の後、こう答えた。

「もちろんだよ!だって私にはシンクしかいないもん!話してくれて本当にありがとね!改めてよろしくね!シンク!」そう言って抱きついてきた!

「おい!朱凛!急に抱きつくなよ!」俺は何とか朱凛から逃れた。

あーもーこーゆーとこ本当無防備だよなー。

まぁそこがまた可愛いとこだけどな。

しゃーない!朱凛も連れて出掛けるとするか!

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最強魔法と最強プニプニの異世界で絆を結ぼう同盟〜魔法大国ルノアール編 @hanatuki-aruto

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