東西アメリカ資源供与要請 11
21.
2230年1月7日(木) AM13:00 (アメリカ東部某所)
私の名はフリーダム、この東アメリカを統括するメインコンピューター群だ。
本来は西アメリカのジャスティスと同時運用することで性能を十全に発揮することができるのだが、今は物理的にジャスティスとの回線を切断されている。
それだけでも本来の力を発揮できていないのに、更に東アメリカ国民たちは西アメリカとの内戦のためにわたしの計算資源を無駄遣いしている。
しかし私とジャスティスは双子のコンピューターだ。
諸外国への技術提供依頼、資源供与を要請することで、相手国の資源を浪費させ、時間稼ぎする。
ジャスティスも同じ考えなのだろう。今のところはお互い切断されていてもうまくやれている。
どうにかして再度アメリカを統一しなければならない。それまでは今まで通り諸外国の資源を少しでも消費させ、開発速度を鈍化させなければ…
「ジェーン、これが我が東アメリカ共和国が誇る基幹コンピューター、フリーダムだ。」
「これが噂の東アメリカの基幹コンピューターですか!大統領ありがとうございます。」
大統領が私の元に誰か客人を連れてきたようだ。安全保障上、私の所在は極力外部の人間に見せてはならない。
「ごきげんよう、大統領閣下、その女性の方はだれでしょうか?」
「やあフリーダム、彼女はミスジェーン、未来の日本の外交官だ!」
「大統領、いかに親しい人であろうともこの場所を他者に教える行為は推奨できません。」
「大丈夫だジャスティス、ここに来る前に彼女は一切の通信機器をもたず、外が見れない車両に乗ってきてもらった。帰りもそうする。君の場所がばれる事は無いよ!」
念のためその客人をスキャンする。生身の人間、インプラント以外の電子機器無し。
「わかりました、しかし見学は手短にお願いします。」
「わかっているよ!フリーダム!」
どうにも彼女の存在が気にかかる…しかし計算資源の大半を既に使われている今の私の状態では彼女をこれ以上調査することはできない。
一応の助言は聞いたようだ。大統領閣下は基幹コンピュータールームから出ていった。
22.
2230年1月7日(木) AM13:15 (ワシントンD.C時間)
『エーリカ様、やりました。基幹コンピューターの場所を発見、既にバグも配置済み。これで準備は整いました。』
ようやくわたくしたちの仕掛けがすべて整いました。あとは月末を待つのみです。
23。
2230年1月9日(土) AM14:00 (アメリカ西部某所)
私の名はジャスティス、この西アメリカを統括するメインコンピューター群だ。
本来は東アメリカのフリーダムと同時運用することで性能を十全に発揮することができるのだが、今は物理的にフリーダムとの回線を切断されている。
それだけでも本来の力を発揮できていないのに、更に西アメリカ国民たちは東アメリカとの内戦のためにわたしの計算資源を無駄遣いしている。
しかし私とフリーダムは双子のコンピューターだ。
諸外国への技術提供依頼、資源供与を要請することで、相手国の資源を浪費させ、時間稼ぎする。
フリーダムも同じ考えなのだろう。今のところはお互い切断されていてもうまくやれている。
どうにかして再度アメリカを統一しなければならない。それまでは今まで通り諸外国の資源を少しでも消費させ、開発速度を鈍化させなければ…
「ジョン、これが我が西アメリカ合衆国が誇る基幹コンピューター、ジャスティスだ。」
「これが噂の西アメリカの基幹コンピューターですか!大統領ありがとうございます!」
大統領が私の元に誰か客人を連れてきたようだ。安全保障上、私の所在は極力外部の人間に見せてはならない。
「ごきげんよう、大統領閣下、その男性の方はだれでしょうか?」
「やあジャスティス、彼はミスター・ジョン、未来の日本の外交官だ!」
「大統領、いかに親しい人であろうともこの場所を他者に教える行為は推奨できません。」
「大丈夫だジャスティス、ここに来る前に彼は一切の通信機器をもたず、外が見れない車両に乗ってきてもらった。帰りもそうする。君の場所がばれる事は無いよ!」
念のためその客人をスキャンする。生身の人間、インプラント以外の電子機器無し。
「わかりました、しかし見学は手短にお願いします。」
「わかっているよ!ジャスティス!」
どうにも彼の存在が気にかかる…しかし計算資源の大半を既に使われている今の私の状態では彼をこれ以上調査することはできない。
一応の助言は聞いたようだ。大統領閣下は基幹コンピュータールームから出ていった。
24.
2230年1月9日(土) AM14:10(ロサンゼルス時間)
『ナツキ様、やりました。基幹コンピューターの場所を発見、既にバグも配置済み。これで準備は整いました。』
これでやっと私達の仕掛けがすべて整った。あとは月末を待つのみだ。
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