東西アメリカ資源供与要請 8
15.
2229年12月4日(金) PM20:00 (ワシントンD.C時間)
わたくしは現地で調達した車に乗り先日SPから渡された場所へと向かいました。
場所はダウンタウン、お世辞にも上流階級の方が立ち寄る場所ではございません。
しかし、ここで行われている行為を考えれば、セキュリティが行き届いている高級住宅街ではむしろ悪手、こういうところの方がいざという時のもみ消しも簡単なのでしょう。
私もそれに倣い、中産~下層階級が乗っている薄汚いバンを用意いたしました。
服装もこちらの市民階級が着るような服を着込み、ロシア系移民の子供といった感じで偽装しています。
お供には管理者とユーリさん、ユーミとナターシャには船でお留守番していただきましたわ。
あの娘達にはこれからわたくしと管理者さんが行う行為は正気で見ていられないでしょうから。
車から降り恐らく倉庫を改装したのでしょう、そんな一見会員制のクラブに見える建物があります。
入り口の前には門番、一見、ただのチンピラ風情に見えますが、立ち方や振る舞いを見るに訓練されたSP、または軍人といったところでしょう。
門の前に立つと招待状を見せるよう促されましたので、管理者さんがそれに応じ、携帯端末を見せます。画面に表示されているQRコードを読み取り、正規の招待状だと確認した彼らは、次に危険物を持っていないか確認するためにスキャナーに入るよう指示します。
インプラントが検知されますが、これは日本国民であればほぼ全員が身に着けている物。問題にはなりません。ただこのクラブ、どうやらクロームを身に着けているお方はNGらしく、もしこれがマリオネットやアンドロイドだった場合は同様に検知されてしまうでしょう。やはりユーミとナターシャはお留守番で正解だったようです。
室内に入ると、いたるところで男女がまぐわっています。この光景、おそらく処女(おぼこ)のナツキさんが見たら耐えられないでしょう。
『管理者さん?わたくしが東アメリカの担当になったのはこれも理由でして?』
『エーリカ様、あくまで計算の結果、今回の交渉にはあなたが最適と計算しただけです。』
私が来たことをSP経由で聞いたのでしょう、ミスター・バレルと息子のバレルJrが私たちの元へ生まれたままの姿でやってきます。
『ごきげんよう、ミス・エーリカ、紹介しよう、私の息子のバレルJrだ。』
『ミス・エーリカ、バレルJrです。本日の夜会へようこそ、さぁそのような似合わないものはお脱ぎになって楽しみましょう。』
『ええ、ミスター・バレルJr、早速ですがお相手してくださる?』
わたくしと管理者さんは今まで着ていた服を脱ぎ捨て、下に着ていた下着をあらわにさせます。
脱ぎ捨てた服はユーリさんが回収、今回の彼の役割はわたくしの護衛、会場内には同じような私的なSPさんが見られますので、何も問題はありません。
管理者さんの体も非常にすばらしく会場の殿方の注目の的となっていますが、バレルJrの興味は予想通り、私のようです。
『ミス・エーリカ、素晴らしい、とても素敵な格好だ。』
見かけの身体年齢を考えれば、明らかにミスマッチな革で作られた肝心なところが一切隠れていない特注下着、バレルJrの興味は十二分に惹けたようです。バレルJrの御立派様がむくむくと大きくなっていくのがわかります。まぁ御立派、いわゆる馬並というものですわね。
わたくしは、バレルJrの御立派様に触れるか触れないかのタッチで両手で包み込みます。
『まぁ、とても御立派。私とても興奮してしまいますわ。』
『しかし、ミス・エーリカ、私のこのモノはあなたの中に入るかな?』
白々しい事を…わたくしがあなたが日本でのVR風俗で、Rolandテクノロジーボディしか選ばない、生粋のペドフィリアである事は既に知っていますわ。
『でしたら、実際に試してみたらいかが?』
管理者さんはバレル氏をターゲットに私と同様にアプローチを行っています。
バレル氏の来日経験はなかったので詳細な性的好みはわからなかったのですが、管理者さんの体はバレル氏を大いに興奮させるには十分に魅力的だったようです。
-機密データ、資格不十分のため閲覧不可-
バレルJr氏との逢瀬を終え、私は本来の目的の仕掛けに入ります。
『素晴らしかったですわ…バレルJr…』
『バリーと呼んでくれ、親しい人はみんなそう呼んでいる。』
『ええ、バリー、わたくしもうあなたの逞しさに夢中ですわ…』
『君もさ、ミス・エーリカ。」
『いやですわ…そんなかしこまった呼び方、エーリカとよんでくださる?』
『ああ、エーリカ』
『ところでバリー、あなたのお友達でわたくしのような貧相な体で興奮してくださるお友達はいらっしゃらないかしら?』
『エーリカ、君のような素敵な人が他の男に抱かれるなんて耐えられない!』
『いやですわ。もちろんわたくしはあなただけのもの…ただ…ここだけの話ですけど、わたくしはこの東アメリカが大好きですわ。西アメリカにも勝利して、そのまま日本にも勝利してほしいくらいに…』
『エーリカ…』
『実は西アメリカ政府を倒すことができるよい作戦があるのです…問題はその作戦に参加する戦士は生きては帰れない事です…そんな死地に赴く戦士に報いる報酬は、この国では禁断の果実とされている体、けっして悪いものではないと思っておりますの…』
『心当たりはあるにはあるが…何人必要なんだい?』
『4人、身も心もアメリカにささげられる勇敢な戦士は4人必要ですわ。これで西アメリカを倒すことができればあなたは間違いなく英雄、統一アメリカ、未来の初代大統領は間違いなくあなたですわ。そして次は日本…その時はわたくしを大統領夫人にしてくださる?』
『もちろんさ、エーリカ。君のような美しく聡明な外交官であればだれも反対しないよ。』
『ええ…それでせかすようで悪いのですが、できれば今すぐその戦士を集めてくださらないかしら?一日でも多く、彼らを戦士に訓練する時間が必要ですの。』
『ああ、もちろんだ。エーリカ、待っていたまえ、すぐに集める。』
『ええ、お願いしますわ』
バレルJrが一生懸命人材をかき集めている間、彼のやる気がしぼまないように下半身の馬並さんを中心に鼓舞してさしあげます。これなら数日中に必要な人材は集まるでしょう。
『管理者さん、後の制御はお任せできる?』
『もちろんです、エーリカ様、後の事はお任せください。』
『それではよろしくお願いしますわ。』
わたくしはVR接続を切断、目に映る光景はお世辞にも好みとはいいがたい殿方のお顔ではなく、無機質なベッドの屋根に切り替わります。
「さすがに好みでもない殿方の相手をするのは疲れますわ。」
「エーリカ様~あんなご無体なことを…」
「落ち着きなさいナターシャ、あれは私ではないわ。ただのマリオネットよ。自身の体がいくらでも交換ができるとはいえ、あんな趣味でもない殿方に抱かれるのはごめんこうむりますわ。」
「しかし、エーリカ様…」
「もうあの20年前に無様な姿をさらしたわたくしとは違うのです。この程度、何ともありませんわ。それよりユーミ、お茶を入れてくださる?アールグレイがいいわ。」
「かしこまりました、エーリカ様。」
「もう一つの仕掛けは管理者さん次第…最低でも一方がこの作戦を成功させる必要がある…ナツキさん、あなたの方もうまくやってくださいね。」
しかし殿方というのはどうしてああも自身の生殖器の大きさを気になされるのかしら…
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