第1話
大学に着いて一限の教室に向かう途中後ろから声をかけられた。
「ゆうちゃん、おはよーっす」
「蒼樹(そうき)その呼び方やめろって」
「いいじゃん可愛くて」
「はぁー」
「ため息ひどいわっ」
こいつは相川蒼樹、大学に入ってできた友達だ。ノリが良くて面白いがたまに天然なところがある。しかもゆうちゃん呼びを何度言ってもやめてくれない、恥ずかしいのに…。
「あ、そういえば今日こそあの女の子に声かけれた???」
「……」
「沈黙ってことは声掛けれなかったのかぁ」
「だって恥ずかしくて声掛けれねぇよ」
「女の子かっ!これだからゆうちゃん呼びはやめれませーん」
あの女の子の相談してるのは蒼樹と大和(やまと)という仲がいい友達にしか言っていない。恋愛の相談とかどうしたらいいのか分からないし。
その時スマホがなった。見てみると大和からだ、遅刻するというLINEだった。
「大和遅刻するらしい」
「なんか電車遅れてたみたいだね。雨凄すぎて遅れてるんじゃない?」
「へぇー、俺が来た時は送れてなかったから知らなかった」
「ゆうちゃん水曜日だけは遅刻しないもんね〜」
「うるせぇ、はよ座れ」
「いやん、いじわるぅ」
少し喋ったあと蒼樹は俺の隣の席に座った。始まりのチャイムがなり授業が始まった。電車が遅れているせいか、教室にいる人数はいつもより少なく見えた。窓の外を見ると大粒の雨が窓を叩いていた。
「すみませーん、電車が遅れてて間に合いませんでした!」
大和が教室の前の扉を勢いよく開けて謝りながら入ってきた。相変わらずうるさい。
俺らを見つけると小走りで嬉しそうにこっちへ来た。
「優太!どうだった!水曜日の彼女には声掛けれたか?!」
どうしてこうもこの2人は恋愛話が好きなんだろうか。
「まだだよ」
俺の返答にあからさまにガッカリした大和は何故かしょんぼりしながら俺の後ろに座った。
俺と彼女の2週間 雪 @yukika1915
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