幼馴染

 『今からいつものところに来て』


 そう連絡があったのは、5時半。一応言っておくけど、夕方じゃなくて朝方ね。俺が毎日の日課で5時に走り込みをしているのを知ってないと送れないよな。


 お互いが社会人になってから、俺の幼馴染は素行が悪くなったと俺も思うし、あいつの母親もこぼしていた。毎週金曜日に決まってあいつは男と遊んで朝に帰ってくる。しかも決まって俺のランニングコースを通って帰る。何か恨みでもかったか?メールが来ること自体そう無いが、やはり連絡が来ると心配で迎えに行ってしまう…。我ながらちょろい。


いつもの所とは、家から歩いて10分ぐらいのファミレスだ。ここ最近では珍しい、24時間営業してる。小さいころからよく通っていて、お互いマジでいろんな思い出のある場所。

 赤茶のロングヘアに、少し派手目の服…やっぱり目立つな。ただ、酔っぱらってるから力なくソファに座ってると台無しだけどな。


 「おい、帰るぞ。」

 「あれぇ?お迎え早いねぇ~。えへへー、今日もね、結構酔っぱらっちゃったんだよ?」

 「そうだな。見てわかるから。ほら、迷惑だから帰ろうな。な?」


 いつも呼び出されるときは泥酔がお決まりだが、今回はそれを超えるぐらい酔ってる気がする。もちろんのこと、歩けないからおぶるわけだが、力が入ってないプラスグラグラ揺れるからおぶりずらい。


 「今日さぁ、イケメンと飲んでたんだよ。」

 「いきなりどうした。」

 「いいから聞いて!」

 「わかったわかった。」


 いつもならファミレス出たとたんに寝るのに今日はどうした。


 「あいつさ、ずーーーーっと胸ばっかり見てんの!俺は貧乳好きなんだよーって語りながら!!誰が貧乳じゃぁーーー!!!」

「ふっ、あ、暴れるなって。」


 不覚にも笑ってしまった。たしかにこいつの胸はない方だと思うが、失礼すぎにもほどが…


 「なに笑ってんのさぁー。さすがのイケメンでも貧乳いじるのは許さないよ?モーいいもん。うちにはねぇ、最強の幼馴染君がいるんだからね~!」


 まさかの俺?おま、俺のことなんか眼中にありませんって顔しておいてそれはズルいだろ。まぁ、酔っぱらいのいうことだ。気にしないが勝ちかな。


 「ねぇ、不服ですか!?こんな貧乳じゃあ!!!」

 「わかったから落ち着けって。それ以上暴れたら落として帰るからな。」

 「それはムリ。」

 「わかったらおとなしく寝とけ。」

 「はーい。」


その後寝言なのか『好き』やら『ありがとう』やら聞こえた気がしたが、これは酔っぱらいの戯言だと思って忘れたい…。忘れたいのに忘れられねぇ。



クソ、この年になって意識させてきたとか、さすがに幼馴染でも許せねぇ。




絶対に惚れさすから。



- End -


読んで頂きありがとうございます!

今回のお題は、『5時半、ファミレス、~でも許さない』でした〜( ´꒳​` )


心の叫びを織り交ぜながらw

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

暇つぶしのお供 銀じゃけ @silver_syaaake

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ