第6話 庭ダンジョン攻略開始
◇庭ダンジョン、第二階層。
―やってきました!第二階層入口!
今回から長期で探索予定でございます。
食料と水も十分に用意し、武器もスモールソードの他にもスキルの≪空間収納・従魔≫にパールやバットなど収納して準備は万端だ。
では、早速行きますか!
「頑張るぞ、凛狼!」
「ワオンっ!」
凛狼のやる気も十分だ。では、冒険開始!
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
―一時間後。
……またこれかああああっ!
モンスターが全くいねえ! 確かに一階層よりは洞窟広いし分かれ道とか増えてるけど! 肝心のモンスターがいないじゃあないか、どうなってんだ! 一時間以上歩かないとモンスターが湧かない仕組みでもあるの? もしそうならふざけんな!
「―?……グㇽゥッ」
そう心の中で叫びながら歩いていると、凛狼の嗅覚に反応があったようだ。
「「GUGYAっ!」」
道の先から現れたのは、直ぐ壊れそうな脆い剣を持った普通のゴブリンより一回り大きなゴブリン……いや、どっちかって言うとホブゴブリンに似てるな。
まあ、生き物の鑑定なんて持ってないんで分からないけどな。
そのホブゴブモドキが横並びに二体。
「グルアッ!」
凛狼が咆えて威嚇し、いつでも突撃できる様に力を溜めてヤル気充分って感じだ。
……魔法を実戦で使ってみたかったが、今回は凛狼に任せるか。
なら俺は、こっちを試してみよう。
―≪従魔術≫
「≪身体強化・従魔≫」
凛狼の体がわずかに光り、いつもより頼もしく感じる。
「グル?……グルアア!」
一瞬首を傾げたが、自分の体が強化されたのを理解した途端、凛狼から喜びと高揚の気持ちを感じ取れた。
……成る程、これが≪感情感知≫の効果か。
ちなみに、スキルを使うときは魔力ではなく、体力……ゲームみたいに言うならスタミナを使って発動するみたいだ。
詳しく言うなら魔力でも発動はできるが、魔力で発動する場合、魔力の消費率で威力が変わるため、威力を出すために少し溜め時間が必要になる。
体力の場合は消費率や威力が固定されているため、溜める必要が無く直ぐに発動が可能だ。
ホブゴブモドキなら魔力発動でも余裕だが念の為、今回は体力の方で強化してみた。
「蹴散らせっ、凛狼!」
「グルㇽオッーーー!」
指示を出すと、何時もよりかなり速く目で追うのがやっとのスピードでホブゴブモドキどもに接近する。
「グルァッ!」
―≪
凛狼の前足に魔力が集まり、半透明な
ホブゴブの間を通る瞬間に二匹の首に向かって
……えぇ、怖っ。カッコイイけど、威力ヤバくない?
そんな簡単に首って斬れるモノなの? それとも強化のおかげ? それともただあの技が強力なだけ?……いや、技の威力+強化であんな切れ味になったんだろうな。
「ワオン!」
傍まで戻ってきた凛狼が、自慢げに見つめて来る。褒めて!っと、感情が伝わってくる。
「おお~よしよし!強かったぞ~」
「クゥ~ン」
撫でまわしながら褒めると、気持ちいい、楽しいっと、感情が伝わってくる。
……ふむ、直接良い感情が分かるのは良いものだな。
気を取り直して、ドロップアイテムの確認といこう。
ホブゴブモドキがいた場所には素材っぽいのとアイテムが落ちていた。
では早速、≪鑑定≫!
――――――――――――――――――
<劣中鬼の牙>
:レッサーホブゴブリンの通常素材。武器によく使われる。
<ソウルコイン・劣中鬼>
:レッサーホブゴブリンから手に入るハイパーレアアイテム。武具に使う事によって、劣中鬼の魂を宿す事が出来る。
――――――――――――――――――
おおっ、ハイパーレアアイテム! このアイテムそんなレアなのか!
〈レベルが上がりました。〉
――……レベルアップ?
まだモンスター二体しか倒してないのに?……ステータス確認するか。
―――――――――――――――――
<ステータス>
<名前>:「
<称号>:『始まりの冒険者』
<種族>:[人間]
<職業>:[従魔使い:Lv10]
<スキル>
[ユニーク]:≪≫
[所持スキル]
戦闘系:≪連携強化Lv3≫≪付与Lv2≫≪剣術Lv3≫
生産系:≪≫
特殊系:≪鑑定Lv3→Lv4≫≪従魔術Lv1≫≪従魔管理≫≪空間収納・従魔≫≪従魔促進≫≪小さな運Lv2→Lv3≫
<魔法>:【水魔法】
――――――――――――――――――
もしかして、スキルのレベルが上がる時もこのアナウンスなのか? 紛らわしくない?
……どうにか、変えれないものか。どうせならまとめてか、個別にしてくれたら嬉しいんだがな。
〈適応者候補による使用変更申請を確認。〉
〈個体名「神付従月」のログを確認中……確認しました。〉
〈申請に必要な貢献度規定値の突破を確認しました。〉
〈申請を承諾。〉
〈申請:レベルアップ時のアナウンスを個別に変更。〉
〈使用を変更中………完了しました。〉
〈次回より、レベルアップ時、スキルとステータスのアナウンスを個別に変更しました。〉
……マジで? 俺、今声に出して無かったよな? 思考を読んだ? てかそんなこともできるんだな、このアナウンスみたいなやつ。
―いや待てよ? 俺はずっとアナウンスと思っていたけど、よく考えたらおかしくないか?
アナウンスはお知らせをしてくれるものだ。
○○を手に入れました、とかは分かる。アナウンスの中に入るだろう。
だが、装備しますか?って言うのは、アナウンスの中に入らない気がする。
これはどっちかって言うと、RPGゲームのメニューにある装備機能みたいな……って、もしかして―。
「メニュー!」
――――――――――――――――――
メニュー一覧
:<ステータス>
:<装備>
:<アイテムボックス>
:<マップ>
:<ログ>
:<ヘルプ>
:<システム>
――――――――――――――――――
―マジであったよ、メニュー機能。
こんな便利なのがあったのか。最初にステータスしか出てなかったから騙された。
いやまあ、ゲーマーなら最初に色々試すべきだったな。
現実にダンジョン何てもんが出てきたんだ。何が起こっても不思議じゃない。
これからは、常識を当てにしない方がいい。色んな可能性を考えて行動しなければならない。
とりあえず、このメニューたちの確認をしますか。全ての項目が気になる。
ん? 項目の横に電球みたいなマークがあるな。これは……説明のかな? 全部見ていくか。
――――――――――――――――――
<装備>
:部位ごとに装備の着脱ができる。武具に関する操作ができる。
<アイテムボックス>
:時間が停止している異空間に、物を出し入れできる。一マスに九十九個の物を仕舞うことができる。容量は百マス。
<マップ>
:進んだ後の地形、建物、道のりを記録できる。
<ログ>
:過去に流れたアナウンスを記録し、見ることができる。
<ヘルプ>
:メニューについての説明を行う。説明文もヘルプ機能によるもの。
<システム>
:自分が見やすい様、又は使いやすいようにメニューをカスタマイズできる。
――――――――――――――――――
成る程、説明文を見た限りマジ便利そう。
てかアイテムボックス! これを早くに見つけていれば生の食料を持ってこれたのに!
まあ、最近はおいしい缶詰めが多いから困ってるわけではないが。
一通り説明を見たわけだし、メニューを操作してみるか。先ずは<装備>からいってみよう。
――――――――――――――――――
<装備>
[武器]:<初心者用の剣>
[防具]:<皮の胸当て><餓鬼の鬼突右腕><皮の腕当て><皮のグローブ><皮の腰当て><皮のブーツ>
[アクセサリー]:<皮のチョーカー>
[ソウルコイン]:<ソウルコイン・劣中鬼>
――――――――――――――――――
ほ~、こんな感じになっているのか。
装備を変えたい場合は……っと、成る程。アイテムボックスに装備できる物があったらここから変更できるのか。
今の装備を脱ぐと……脱いだ装備はアイテムボックスに自動で入るみたいだな。ここまでは大体のゲームと同じ仕様だな。
で、一番気になるのが〔ソウルコイン・劣中鬼〕が装備メニューの中にある事だな。
ここから使えるのか?……よし、使ってみるか。
〈<ソウルコイン・劣中鬼>を使用する武具を選んでください。〉
表示に従い、<初心者用の剣>を選ぶ。
〈<初心者用の剣>に<ソウルコイン・劣中鬼>を使用いたします。〉
〈……完了しました。〉
〈<初心者用の剣>に劣中鬼の魂が宿りました。
<初心者用の剣>は<
〈進剣の所持を確認。〉
〈クエスト履歴を検索中……確認しました。〉
〈クエスト[生ける剣]をクリアしました。〉
〈報酬:<剣士向けのランダムスキルチケット><レベルアップクリスタル(スキル用)>×2〉
――――――――――――――――――
<
【進度:Ⅰ】
:剣に劣中鬼の魂が宿った事で、生きた武具へと存在が進化した。生前同様に、経験値を得ることで進化する。進化するほど強力になる。
特定の条件を満たすことで、≪進技≫を放てる。
[所持スキル]
≪
[進技]
≪
:魂を使って、気炎でできた劣中鬼を呼び出し、使役する。使用する魂の数が多いければ多い程、戦闘力が上がり使役時間も伸びる。
:条件
一・魂の捕食を十回行う事。
二・気炎を纏った合計時間が二十四時間以上。
条件一は進技使用後にリセットされる。
――――――――――――――――――
これ、序盤に持って良い武器ではないだろ。
しかもまた何か新しい要素が出てきたし。最初から盛り過ぎじゃない?
それとも運が良いとでもいえばいいのか? そろそろお腹いっぱいなんだが……何で武器にスキルが付いているのも分からないし。
まあゲーム的思考で考えるならば、モンスター素材で作った装備にその素材となったモンスター由来のスキルが付く、って感じかな? あってるかは分からないが。
一様、スキルも見ていくか。
――――――――――――――――――
≪
:敵を倒すと同時に魂を食らい、力へ変換する。
食らった魂を変換せずにストックしておく事もできる。ストック容量は、スキル保持者によって変わる。
≪
:気で出来た炎を剣に纏わせる。≪剣術≫に合わせる事で≪剣技・炎≫を放てる。≪剣術≫レベルが上がる程、威力が上がり技も増える。
:≪剣技・炎≫
Lv1≪
Lv2≪
Lv3≪
――――――――――――――――――
――――――――――――――――――
≪
:気炎を纏った状態で相手を斬りつけ、切り傷とやけ傷を負わす単発技。
≪
:気炎を纏った状態で相手を二回斬りつけ、さらに深い切り傷と火傷を負わす二連撃。
≪
:相手の体に触れ、≪剣技・炎≫で付けた切り傷と火傷をさらに燃やして追い討ちをかける。
≪
:気炎を纏った状態で相手に刺突する単発技。
――――――――――――――――――
―え、強くない?
しかも、剣技が使いやすそう。
剣術の方はアシストのおかげで深く傷をつけれてるけど、決まった動きに引っ張られてしまう。
気炎剣の方は動きに指定が無いし、凡庸性はこっちの方が高いと思う。アシストが無い分、上手く使えるかは自分の力量次第だが。
どうも慣れないんだよな、剣技使った時のアシストで調整される感じが。
確かにそのアシストのおかげで俺みたいな奴でも剣で致命傷を負わせることができてるけど、何か違うと感じるんだよな。
≪捕食・魂≫もかなり強力だと思う。
この場合、変換する力が何かにもよるが、魔力・体力・気力、又はその全てか。
何せよ、倒してしまえば力を回復できるのならかなり使えるスキルだ。ストックができるなら、いざという時に役に立ちそうだしな。
そして進技。これがまた壊れスキルだと俺は思う。
一見、そこまで強くない劣中鬼を出して使役するだけなら弱い能力だが、魂を使って鬼を出すのなら≪捕食・魂≫のストック機能と合わせると化けると考えられる。
ストックすればするだけ強い鬼をたくさん出すことができるだろうし、弱い鬼でも量産すれば数の暴力で暴れてくれるだろう。
条件自体、あまり厳しくなさそうだしな。
……考えれば考える程、序盤で出てくるには早すぎる武器だな。
運が良いのか、それとも何かしら仕組みがあるのか。まあ貰えるモンは貰う主義なんで、ありがたく使わせてもらおう。
―そういえば、ボスから落ちた装備も何か条件があったよな……レベルが上がった今なら見えるかな? 確認してみよう。
――――――――――――――――――
<
【進度:Ⅰ】
:ボスのホブゴブリンを特定の条件で倒すと落とす、ウルトラレア装備アイテム。餓鬼の魂が宿っている。装備すると≪召霊右腕・餓鬼≫が使えるようになる。ある特定の条件を満たすと、特殊スキルが使える様になる。
[所持スキル]
≪
[進技]
≪
:式神として獣鬼を召喚し使役する。獣鬼の姿や性能は食べた獣の種類によって変動する。
:条件
一・≪召霊右腕・餓鬼≫を使って獣の命を奪う事。
二・≪召霊右腕・餓鬼≫で倒した獣の肉を食べる事。
――――――――――――――――――
―見える項目増えすぎだろ! この装備、進具だったの?!
―――――――――――――――――
<ステータス>
<名前>:「
<称号>:『始まりの冒険者』
<種族>:[人間]
<職業>:[従魔使い:Lv10]
<スキル>
[ユニーク]:≪≫
[所持スキル]
戦闘系:≪連携強化Lv3≫≪付与Lv2≫≪剣術Lv3≫
生産系:≪≫
特殊系:≪鑑定Lv3→Lv4≫≪従魔術Lv1≫≪従魔管理≫≪空間収納・従魔≫≪従魔促進≫≪小さな運Lv2→Lv3≫
[装備所持スキル]:≪補食・魂≫≪気炎剣≫≪召霊右腕・餓鬼≫
<魔法>:【水魔法】
―――――――――――――――――
従魔と行く、神々の試練~何れ訪れる厄災を添えて~ 智之助 @raito17
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