第18話…依存 ☆R18



腰止まんねぇ。


依存、してんのは。


俺の方かもしんない。




18……依存




「………。」


『………???』


髪をクシュクシュとしながら、


彼女のことをぼんやり見つめる。


この甘めな空気、壊したくなくて。


このまま、離したくなくて。


彼氏さん…っつーか、元カレ?


のこと、考える隙なんて。


1ミリ足りとも与えたくなくて。


このまま、俺のもんになってくれたら。


俺はアイツなんかより、


もっとずっと重くなってしまった、


彼女への気持ちをブレることなく向けてやるのに。


グルグル回る思考の、狭間。


不思議そうにこっちを見つめる彼女と、


目が合った。


『思ってること、言って?』


………っ///


ホント、こういうとこなんだよな。


相手の表情や、一瞬の間。


言葉や空気の変化にひどく敏感で。


俺が言葉が上手く使えないのを知っていながら。


知っているからこそ。


言葉を吐き出させようとしてくれて。


俺のどっちつかずに、ユラユラ揺れる、


不安定な気持ちが溢れそうになる瞬間に。


彼女は必ず想像力を駆使して。


彼女の声が降ってくる。


「上手く言えないから、言わない。」


『……(笑)』


そんな俺でも、彼女は許してくれて。


それ以上は触れずに笑ってくれるから。


………ちゅっ。


ベッドにペタンと座ってる、


彼女の肩に腕乗っけると。


軽く引き寄せて、


おでこにキスをした。


次は頬に、唇に。


……ちゅっ、ちゅっ!


ついばむ様に優しくリップ音を立てる。


『好き…?』


キスの途中、そんなことを聞くから。


「嫌いじゃ…ないっ」


そう言った俺の目は、


きっと彼女のことが愛しすぎて。


小さく揺れてしまって。


それも、きっと彼女にはバレバレで。


その証拠に。


……ちゅっ!


「……っん!」


お返しのちゅうが降ってきた。


驚いたように、彼女を見つめると。


……ちゅ、ちゅーっ!


慣れない彼女のキスが、


たまらなく胸を締め付けて。


力が抜けそうになる。


「………っっ!///」


華奢な手が、俺のジーンズに触れて。


ほんの少し、腰を引くと。


『……ダメ?』


チラッと上目遣いで見つめてきて。


思わず、視線を下げると。


彼女の胸が目に入って。


ダメだ…色気に負けそう。


小さく腰に力が入る。


「……っっは…ぁ」


器用にジーンズを緩めて、脱がされて。


下着の上からでも分かるそれに、


彼女が触れるから。


小さく息が漏れる。


「ヤバ…イ…って…っ」


下着ズラして、直接触れられたら、もう。


彼女の華奢な手が、微妙な強弱つけて。


動かすから。


その刺激に一気に余裕が無くなる。


『………っ』


「……くっ…はぁ…///」


小さく息を吐くと。


こっちを見つめる彼女と目が合う。


「そんなん…すんな…っ///」


俺の言葉を無視して。


「…あぁっ…くっ…はぁはぁ…///」


彼女が俺のを咥える。


途端に意識が飛びそうになる。


思わず、彼女の髪をクシュとして。


腰を引こうとしても。


器用に舌を動かして、小さく吸い付いてきて。


「…はぁ…はぁ…あく…っっ!//」


腰を小さく動かしてしまう。


彼女の口許を見つめると、


舌先がエロくて、もう。


その色気に頭が可笑しくなりそうで。


男、って、単純。


好きな女にそんなんされたら。


一発で負け犬でしかなくて。


「ちょっ…待って待って…っ」


このまま、咥えられたら、


すぐにイケそうで。


思わず、彼女を制止する。


『………///』


唾液が零れそうになったのか、


唇を離すと、小さく口許を拭って。


もう、なんだよ…それ。


少し荒くなった息を整えて。


彼女の髪を撫でると。


「……っちょっ…///」


また、先だけ咥えて。


舌先で裏を刺激してから。


「はぁ…はぁっっ!」


奥まで咥えて、頭を動かすから。


「……はぁっ、無理…っ…イく…っ」


彼女の髪を耳に掛けると、


頭を軽く支えて、彼女に無理させない様にしながら、


彼女に合わせて、腰を振る。


一気に頭ん中が気持ちよさに支配されて。


果てる瞬間、気持ち良すぎて意識が飛びそうになる。


『……っっっ!』


一瞬、苦しそうに、俺の欲を受け止めて。


軽く舌で絡め取って。


彼女が口を離すから。


「……はぁ…はぁ。」


近くにあったティッシュを数枚取ると、


彼女に渡した。


『………。』


口許を拭う彼女を見つめて。


息を整える。


「ばーか。…どこでそんなん覚えてくんだよ…っ」


『……だって、正人くん…可愛いんだもん…。』


「……うるせぇなー…。」


彼女を押し倒すと、跨って。


Tシャツを脱ぎ捨てると、


手を絡めて握れば、上から彼女を見つめて。


『……っ!///』


目が合ったのを確認すると、


ぎゅっとその身体を抱きしめて。


「シていい…?…シたい。」


耳許に唇つけて、思いっきり甘く呟いた。


『……っ』


「あ……ゴム…。」


思い出して、ジーンズをたぐり寄せると。


財布の奥からゴムを取り出して。


付ければ、また。


彼女をきゅっと優しく抱きしめて。


「痛かったら…言って…無理しなくていいから。」


……ちゅっ、ちゅーっ!


リップ音ひとつ、して。


その後、深く深く口づけた。


キスに意識を向けさせて、


身体から力が抜けるまで、


キスを繰り返して。


『…んぁ…っ…はぁ……!///』


力が抜けた瞬間、軽く馴染ませると。


俺はゆっくり腰を沈めた。


抱きしめてる俺の耳許で、甘い声が響く。


「平気……?」


『……っん。』


コクコクと小さく頷いて。


小さくはにかむから。


もう、なんていうか。


心臓がバクバク波打つ。


「俺…見て…?」


『ん……?』


「後悔してない…?」


『……うぅん…してない。』


小さく首を振って、俺の手をきゅっと握るから。


好きが過ぎる。


そんな反応するから、


俺がどうしようもなくなって。


気持ちを抑えらんなくなるんだ。


……ちゅっ!ちゅ、っん!


『……んっはぁ…』


キスしながら、腰をゆっくり動かすと。


彼女はきゅっと俺に抱きついてきて。


耳許で響く彼女の甘くなってく声に、


俺だけがいい、って。


その、表情も。


その、声も。


その、指先も。


その、とろけそうに揺れる瞳も。


俺だけのもんがいい、って。


ひどく欲張りになって困る。


「…ヤバ…い…中…すげぇ気持ちいい…っ///」


中の温度が頭を麻痺させそうになって。


『……はぁっ、はぁ、…っっ!』


彼女の気持ちよさそうな息に、


声が聞きたくて仕方がない。


「……気持ちい?…はぁっはぁ…」


至近距離で聞いて、


その表情を見つめながら、


腰を振ると。


『あぁ…っ!…いい…っ…はぁはぁ、』


気持ちよさそうに、身体を小さく仰け反らせて。


その白い肌が少しほんのり赤みがかるのを、


キレイだと思ってしまって。


「えろ…っ…」


小さく呟くと、彼女の足を抱えると。


ベッドに手をついて。


彼女に体重を軽くかけて、奥を激しく突く。


ベッドの軋む音がした。


『あぁっ…正人…くっん…っっ!///』


「……ごめんっ…優しく出来ねぇ…っ!///」


『はぁはぁ…っ』


彼女が俺を必要とするみたいに、


手を伸ばしてくるから。


彼女の手を掴むと、


そのままベッドに押し付けて繋いで。


「はぁはぁ…んんっ…」


時折、彼女の手に力が入ったり、


緩んで指が開くのを感じながら。


俺は彼女に溺れて、夢中で。


依存してんのは俺だ、って。


気づいてしまった。


中がきゅっと締めて付けてくる。


生温い温度に頭がクラクラして。


俺、どうかなってしまいそう。


「……やべぇ…イキそ……腰止まんない……っ」


『…あぁっ…っ…ん…』


小さく頷いてる彼女も、


余裕が無さそうに、視線が合わなくて。


宙を見上げて、小さく腰を震わせて。


中がビクビク波打ちそう。


「イく…っ…いい?……あぁっ、イく……っっ!」


彼女をきゅっと抱きしめて。


夢中で腰を振る。


「……っき……っ…お前……す……っき…!///」


『……イ…っく…っっ///』


気持ちよさで頭が真っ白になる瞬間。


無意識に気持ちを吐き出してた。


『はぁ……はぁ……』


「はぁはぁ……」


果てた瞬間、急に身体が疲れで重くなる。


彼女を抱きしめたまま、暫く動けなくて。


荒くなった息を整えて。


彼女もまた、俺の後ろ髪をクシュとしながら、


ポーッとしたまま、暫く息を整えた。


……ちゅっ、ちゅー!


「……腰、平気?痛くなかった…?」


ふと、顔を上げて。


軽く2つ、彼女にキスを落とすと。


見つめて、身体を気にして。


優しくしようとしたのに、


彼女の仕草ひとつひとつに、


我慢が出来なくなってしまったから。


心配そうに聞くと。


『………っ(笑)』


嬉しそうにニヤついてるから。


「ニヤニヤしない、ニヤニヤしない。」


両方の頬を軽く両手で引っ張ってやると。


『だって……///』


「ん?」


『聞こえちゃったんだもん。』


「なにが?」


『正人くん…好き、って。お前が好き、って。』


………!!///


「空耳じゃない?それ。」


無意識に吐き出してた気持ちのこと、なんて。


俺に聞かれても知るか!って話で。


彼女から抜くと、ティッシュで拭って、ゴムを外して。


丸めるとゴミ箱に投げて。


近くの下着をたぐり寄せると、


そのまま、履いて。


『絶対聞こえた、間違いないよ?』


「はいはい、良かったですね。嫌いじゃない、じゃなくて。好きが貰えて良かったです、喜んで貰えて。」


彼女は嬉しそうに、しきりに俺に話してきて。


彼女の隣に寝転ぶと、肩を軽く叩いてくる。


そんな、喜ぶことかよ。


ホント、子供みてぇ。


そんなこと思っていると。


横向きになって、俺のことジーっと見つめてきて。



「……なんだよ。」


『もっかい。アンコール、アンコール。好きのアンコールください。』


「は?お前、調子に乗んなー(笑)」


『なんでよ、バンドマン、アンコール希望されたら、もう一曲歌うでしょ?』


「俺はアンコールしないの。女の子相手のバンドではないので。」


『パンクじゃなくて、フツーのロックバンドで、バラードとかもあるくせに。』


「あるけど、音は爆音だから。なめんな、ロックを。」


『じゃあ…私の真似して?』


「ん?」


『す、…はい?』


「す。」


俺が彼女の言葉を真似ると、


満足げに笑って。


『次ね?……き。はい?』


「嫌いじゃないよ?まりなのこと。」


『くそー。正人くん、ホント、素直じゃない。捻くれ者だー。』


「……(笑)」


クルクル変わる表情は、


全部、とりあえず全部。


この瞬間は俺のもんで。


俺はそれがたまらなく愛しいから。


彼女の髪をクシュと撫でて見つめた。


そして。


引き寄せると、その肩口に顔を埋めて。


小さく小さく呟いた。


「……っき…。」


『聞こえない、なに?』


「お前、絶対聞こえてただろ?」


『ホントに、何?』


精一杯の好き、は。


俺にはなかなかハードルが高い。


だから。


「早く俺に依存して。」


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