第17話…温度 ☆R18



もう、このまま。


溺れてしまえばいい。


刻みつけて、


深く深く残ればいい。




17……温度




「帰んなよ…まだ。」


『でも……。』


ベッドから足を下ろして、


立ち上がった彼女の腕を掴んだ。


「このまま帰したらダメな気がする。」


チラッと彼女を見上げると、


少し苦笑気味に戸惑っていて。


『このまま居たらダメな気がする。』


今度は思ってることが、


全く正反対。


「どして?」


『正人くんの手望んで……そしたら、好きって言葉聞きたくなって……そんで最後は依存する様になる。……依存しちゃったら困るくせに。』


「………っ!」


『大量の手紙の子達みたいに、正人くんの思いとか…気にする余裕無くなるのがイヤ。……そしたら、バサーって手紙が散った時みたいに、どうしてあげればいいの?って…正人くんが戸惑った顔とかして……そんな顔させたい訳じゃないのにってなって…で…それで…あの……っ』


ボロボロ零れ落ちる、


彼女の言葉たちに、


たまらなくなって。


そこまで俺のこと考えてたの?って。


心臓がドクドク鳴る。


彼女の表情は、ボロボロ零れ落ちる自分の言葉に、


困っていて。


俺のこと考えて、


そんな表情してる彼女に、


俺の心の中で、抑えていた何かが崩れる音がした。



『……きゃっ…!』


「……っ!」


彼女をベッドに押し倒すと、


跨って、上から彼女を見つめた。


『正人く…ん?…えっと…あの……っ!』


彼女はこの状況が飲み込めないみたいに、


目を反らして、言葉を探して。


………ちゅっ。


『……んっ……!///』


優しく丁寧に唇にキスをひとつだけ落とした。


なるべく緊張させないように。


「……依存。…してくれんの?俺に。」


唇を離して、ジッと見つめると。


『……しそうで怖いの。』


小さく唇を噛んで、呟くようにそう言った。


「……ん、依存…して…っもっと……っ」


依存して、って。


声にもならない声で小さく呟くと。


……ちゅっ…ん。


『……っんち…ゅっ!///』


また、彼女の唇に軽くキスをして。


ゆっくり少しだけ唇を離して見つめる。


薄く目に涙の膜を張った彼女と目が合った。


俺のこと考えてたんだ、って。


それが分かったから。


依存しまくって。


何だったら…アイツ以上に。


俺を想って、喜んで欲しい。


俺を想って、怒って欲しい。


俺を想って、哀しんで欲しい。


俺を想って、楽しんで欲しい。


彼女の喜怒哀楽、すべて。


俺絡みだったらいいのに、って。


我儘な気持ちを持て余して。


……ちゅーーっ!


『…ーー…っ!』


唇に吸い付くようにキスをしながら、


優しく首筋を指先で撫でて。


キスに夢中になりながら、


彼女の胸に触れた。


彼女の華奢な身体が小さく跳ねる。


……ちゅっ、んっ…。


首筋に顔を埋めて、小さく咥えるように、


その首筋に柔らかくキスをして。


指先で胸に柔らかく触れる。


『正…人くん…っ』


名前を呼ばれて、胸に置いてた手を軽く掴まれた。


「……ごめ…ん…」


拒否られたんだ、と思って。


顔を上げて、至近距離で見つめて謝ると。


『違う……あの……』


彼女は何か言いたげに、


言葉を濁して。


「ん?」


彼女の髪に指先を通して、


梳くように撫でながら、


言葉を待つ。



『あの…えっと…色気とか…おっぱいとか…そんなんじゃない?』


「………???何て…?」


彼女の言葉の意味が分かんなくて。


不思議そうに聞き返すと。


『男は色気とか…おっぱいとか…女の子からいい匂いしたら一切合切関係ないって…。』


「あぁ…(笑)」


『……じゃない……?』


「そうだと思ったの?」


『うぅん…正人くん、そこまで器用じゃない。』


「分かってんじゃん……。まりなちゃんだって……今、別にこの状況に流されてる訳じゃないでしょ…?」


『そうだけど…。フラれてすぐだし…この状況許してると…なんか…。』


「まりなちゃん……俺のこといっぱい考えてたでしょ?ずっと…。さっき、気づいちゃったって言ってたじゃん、俺の存在意義。だから…そのまま俺のこと考えて…依存。…しとけ。」


『……っん…』


俺の言葉に、


彼女は小さく頷いてはにかんだ。


やべぇ、好き。


「そんな顔すんなよ…っ…我慢出来なくなるんだけど…っ…俺、一応男だよ?分かってんの?」


彼女の両手を自分の首に巻き付ける様に


持っていくと。


……ちゅーっ、ちゅ、…ん。


唇を重ねながら、舌先で唇を割って。


『……んんっ!』


苦しそうに小さく息を吐くから。


そのまま、浴衣に手をかけた。


『……っっ!///』


浴衣を崩すと、


首筋からブラ紐が覗いて。


恥ずかしいのか、彼女はきつく目を瞑った。


「…えろ…っ」


どんだけ色気出してんだよ。


肌の白さ、だとか。


小さく吐く息、だとか。


彼女の仕草のせいで、


俺はもう彼女に溺れそうになって。


胸元に舌を這わせながら、


ブラの脇から手を入れて。


柔らかくその胸に触れた。


『ん……は……っぁ』


ほんの少し、息が上がったから。


彼女の背中に手を回すと、


ホックをプチンと片手で外して。


そのまま胸の先を口に含んで舌先で転がした。


『……っぁ…っ!』


身体を小さく震わせて、


声にならない息を吐く。


「……っ!」


彼女の指先が俺の髪をクシュとして。


俺を必要としてるみたいに、髪に触れるから。


その反応にたまらなくなる。


胸に吸い付いては、舌先で転がして。


彼女の表情を見逃さない様に必死で。


『ん、…ぁっ…はぁ、…』


小さく身体を仰け反らせて、


俺の刺激に耐えてくれて。


可愛すぎる反応に、


鼓動がドクドク音を立てる。


「声…聞かして…もっと…」


胸から唇を離すと、


彼女の耳に唇つけて。


呟く様に言って、そのまま耳にキスをする。


『……っ』


泣きそうな表情で、小さく首を振って。


「……声聞きたい。」


指先で優しく彼女の身体を辿って。


彼女の太ももに触れる。


『ん…はぁ…っ』


少し息を整えようとするのに、


出来なくてもどかしいのか、


涙目で俺をチラッと見つめてくるから。


……ちゅっ!


丁寧に柔らかく、優しくキスをして。


小さく頷いた。


大丈夫、なのに。


不安にならなくても、


俺はこんなに彼女に溺れてしまっているのに。


そんな涙目で俺を見つめてくるから。


………ちゅっ、ん。


彼女を安心させるように、


指先で太ももを辿りながら。


軽く何度かキスをした。


『……あぁ、…ん…っ!///』


キスの途中、彼女の身体から少し力が抜けたから。


下着の中に指を入れると、


その温度に胸がきゅっとなった。


「ちゅう、気持ちよかった…?…濡れてる。」


耳許に唇寄せて、聞いてやると。


『違…っ…!///』


太もも擦り寄せてごまかすから。


可愛すぎて、いじめたくなる。


「違わねぇじゃん…声えっちくなってるくせに。」


軽く指に当たった小さな膨らみに、


柔らかく触れると。


『ん…はっ…ぁ…ん!//』


思わず漏れた声に、


彼女は恥ずかしすぎて、


手の甲を唇に押し当てて。


刺激に耐えようとしてて。


「ダメ。……声聞かして。」


俺は唇を抑える彼女の手を掴むと、


片方の手を絡めて繋いで。


膨らみを傷つけないように、


力を加減しながら、擦った。


『ぁっ、…あっ、ん…っ!///』


「……っ///」


甘い声にたまらなくなる。


この声…俺だけがいい、って。


欲張りになる。


「指…入れていい?…痛かったら言って。」


………ちゅっ!


彼女にキスしながら、キスに集中させて。


下着を脱がせると、


身体の力を抜かせながら、ゆっくり中に指を入れる。


指先から伝わる温度に、


クラクラしそうになる。


「……どこがいい?」


『……んんっ…はぁ…あっっ!』


彼女の表情を見つめながら、


イイトコを探ると。


小さく腰を浮かせて、


繋いでる手をきゅっと握るから。


『……ぁあっ、ん…っ…イ…っちゃ……!』


声が甘くなる場所を指で突きながら、


至近距離で彼女を見つめて。


でも、余裕がないのか、


時々視線がぼんやりズレる。


気持ち良さそうに、小さく甘い声を上げる彼女に。


「……いいよ、イッて…」


………ちゅ、ちゅっん!


キスを繰り返しながら、指を動かすと。


『んんっ……っっっ!///』


身体を小さく震わせて、彼女は果てた。


ダメだ、可愛すぎて、目眩しそう。


『はぁはぁ……っ』


……ちゅっ。


軽く彼女にキスをして、


髪をポンポンと撫でて。


「大丈夫か…?」


息が整うのを、隣に寝転んで待った。


『正人くん、……えっち。』


恥ずかしすぎて、顔が見れないのか。


彼女はそう言って、俺に背中を向けて。


「……(笑)それ、こっちの台詞。」


彼女の照れた顔を見たくて、


後ろから抱きしめると、顔を覗き込んだ。


『……っ///』


彼女がチラッとこっちを見つめてくるから。


「どした?」


不思議そうに問いかけると。


『……正人くんの…当たってる…///』


「……っ!…っるせーよ!///あんなん見たら……誰だって勃つに決まってんじゃん…っ」


急に態勢変わると、


途端に弱くなるのは、


彼女に惚れてる証拠を突き付けられてるみたいで。


焦ってしまう。


「……っ!触んな…っ///」


『……ダメ?苦しくないの……?』


「あのなー…その言い方…っ///」


好きな女が触る、ってことの、


事の重大さが分からない彼女は、


俺をベッドに沈めて。


軽くジーンズに手をかけるから。


「ちょっ…いいって…」


彼女の手から逃げるように、


上半身だけ身体を起こすと。


『私だけ恥ずかしい思いしたのに。そんなん…フェアじゃない……。』


いや、フェアじゃない、って。


それ、そこで使う言葉かよ、って。


彼女の不思議な捉え方に、


そうやって俺に一生懸命になってくれちゃうと。


もう抑えが効かなくなるんだけど。


それ、分かってんの?って。


また、あれこれ思考がグルグルして。


「まりなちゃん、いいよ…?無理しなくて。」


そこが俺としては気になって。


『……私がフラれた直後にこんなんするから…幻滅した?』


少し離れて、チラッと俺を見てくる。


そうじゃない。


そんな訳ない。


落ち込んだり、弱くなったり。


はにかんだり、得意げになったり。


俺のことでそんな色んな表情くれて。


彼氏さんに一直線だった彼女を知ってるから。


そこに他の人が入る隙なんて無いことも。


俺はちゃんと知ってるから。


彼氏さんのこと、まだ、


完全にゼロとはいかないのも分かってるけど。


でも、気づいてくれたんでしょ?


俺がずっと傍で見てきたこと。


俺がずっと、見えにくい想いの切れ端投げてきたこと。


だから、余計。


俺のことで、


彼女の喜怒哀楽すべてコンプリート出来ることが。


堪らなく、幸せで。


だから、そんなふうに思わない。


「お前さ、また色々見えてるみたいだけど、全部的外れ。……幻滅する訳ねぇじゃん。押し倒したの、俺だよ?」


『正人くん…お前、って言った。まりなちゃん、じゃなくて…お前って。』


「……ごめん。」


『違うの、また距離近くなったな、って思って///まりなちゃん、より…まりな、とか、お前…のが、まだ距離近い気がして…嬉しい。』


「……そこ気にすんの、まりならしい。」


急に名前を呼び捨てるのは、


緊張してしまって。


若干、言葉がカタコト。


『……(笑)カタコト、可愛い。』


「食いつくなって」


『正人くん、前から思ってたけど、やっぱり可愛い。』


「どっちがだよ。」


『ん?』


「……さっき、えっちかった。」


『うるさいー。』


反撃してやると、


俺の目を両手で隠すから。


「照れてんの?(笑)」


手首掴んで、離してやると。


『見ないでください。』


はだけた浴衣姿の身体を手で隠して。


でも、隠し切れてない、そのフォルムが


堪らなく愛しくて。


「今もその格好エロい。」


ニヤッと笑ってやると。


俺の手を小さく握ってきて。


『この手、えっちい。バンドマンはやっぱり信用ならん。』


「なんでだよ(笑)こっちは真面目に音楽やってんのに。」


『ギターの弦弾くの得意だからって、やっぱり指がえっちくなる。だから、バンドマンは信用しちゃいけない。』


「その手が好き、って言ってたくせに。」


笑って髪をクシュと撫でると、


指先に髪から彼女の温度が伝わって。


またドキドキが復活した。


俺、止められる自信ないかも。

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