第23話 不条理への反抗
「お前の人格も消し飛ぶことになる」
「ひっ、やめて! パズズ! 立って!」
レーヴァテインは泣きながら助けを請う。
「レヴァ……様……」
パズズはまともに喋ることすらできないようだ。
そうだ。あいつなら。
「ガスパール! 助けてくれ」
俺が叫ぶと、銀髪の少女が顕現した。
「分かっていますよ。あの無害人格を守りたいんですよね?」
「そうだ」
「キシシ、縁も所縁もない相手にそこまで肩入れするなんて、お人好しが過ぎるんじゃないですか?」
ガスパールの言う通りだ。だが、動かずにはいられない。
「ともかく、玲香さんとリサ社長のする攻撃を全て逆行させてくれ」
「え?」
「は?」
二人は俺の宣言に戸惑いを隠せないようだが、その隙をつく。
俺はレーヴァテインの身体を抱え、地を転がった。
「自動防御システム、起動!」
半球状のシールドに覆われる。そして続く攻撃呪文を唱える。
「マジックスキャナー、【聖雷一閃】だ」
「考えたな。ならばこれでどうだ? 聖魔法【四刻聖印】」
白く光る四つの楔がレーヴァテインの身体に打ち込まれる。シールドは意味を成さなかった。それだけにリサ社長の魔法は強大ということか。
「何をしたんです?」
「悪魔の力を使えないよう封じた。ま、もって一か月といったところだがな」
なるほど。
攻撃ではないので、ガスパールの権能にも引っかからなかったということか。
「この私を止めるとはいい度胸だ。そこまでしてその少女を守りたいなら、一か月死ぬ気で方法を探すといい」
遅れて【聖雷一閃】が炸裂するが、リサ社長は右腕を振るって霧消させた。この人、一体何者なんだ?
「だが方法が見つからなければ、お前もろともその少女は殺す。もちろん、全ての人格を顕現させたうえでな」
凄まじい威圧感を伴って声が響く。有無を言わさぬ口ぶりだ。
「いいでしょう。無辜の人格は殺させません。必ず方法を見つけます」
俺は堂々と宣言してみせた。
「キシシ、宝くじを当てて、平穏無事に暮らしたかっただけのあなたが一体何をしているのでしょう? これは面白い破滅が見られそうです」
確かに。ガスパールの言う通りだ。だが、ここで理不尽を目にして放っておいたら、一生後悔するかもしれない。
「そうか。ならば出ていけ。私に歯向かった以上、ここにはいられないものと知れ」
リサ社長は厳しい言葉とともに俺たちを追い出した。
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