第3話 上昇
わずかにみえた光だけを頼りに捜索を
行った潜水艦だがその光をついに見つけることができなかった。
「仕方がない。一旦海上に通信をして
おいてくれ。あの音とそれからお前の
みた青い光というのも。」
「はい。」
「よし、もう一度調査を始めるぞ。」
今回の調査の目的は海水の成分の調査だった。海水を摂取し調査を行う。調査の結果が出るまでしばらく時間がかかるため結果が出る前に海上へと上昇を始めた。
上昇を始めてしばらく経った頃、ドン!と
何かにぶつかったような音がする。
潜水艦は通常、潜望鏡を出して上昇し
潜水艦の上に障害物がないか確認をしながら上昇するため、本来何かに当たるというようなことはない。実際今回も潜望鏡をだして上昇しており、音がした時には上部に何もなかった。いったい何が当たったというのかわからないが、とにかく海面に出ないことにはどうしようもない。海面についた潜水艦をみた艦内の調査員は、驚きを隠せなかった。
何せ前方右が大きく凹んでいるのだ。
ちょうどそこは衝突対策に衝突吸収部屋のようなものになっており、被害は外傷のみだった。もう一つ調査員が驚いたことがある。
上昇位置だ。上昇時海流の流れなども計算して海上の調査船の少し横に上昇する予定だった。しかし、予定とは遥かに遠い海上に浮上してしまったのだ。さらに、調査船の船員の話をきいて驚いた。潜水艦が上昇した少し前
調査船の下を緑色をした大きな、まるで龍のようなものがゆっくりと調査船の下を通って行ったというのだ。この緑の生物と潜水艦の衝突、海底で調査員が聞いた地響きのような音と調査員の見た青い物体。
これらには、何かのつながりがあるのではないかと考える調査員は少なくはなかった。
シャオ らく @raku1025
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