ポスト・エピローグ
御厨が峠を越えたという朗報を聞いたのは数日後のことだった。
御厨の状態を耳にした時の玲於奈の慌てようといったら見てられなかったが、結果的に助かったのだから笑い話にできる。
その後、花の所在は解らない。唱子もあれ以来姿を見せないし、一体どこで何をしているのかも知れない。左手の紋が消えていないということは、また会う機会もあるのだろう。
「みぃや~! お迎えにあがったよぅ」
慌ただしい日々が落着し、俺は本格的に女としての生活を始めた。
「玲於奈様もいるわよー」
慣れないことも多々あるがそれなりに新鮮な毎日を過ごさせてもらっている。
「なんで愛まで来てんだ?」
「いや~たまには二人と登校するのもいいかな~って。ほら、いっつも愛ちゃんだけ仲間外れだし」
人聞きの悪い。方向が違うのだから仕方ない。
梅雨は明けたようだった。今日は傘は必要なさそうだ。
朝日の中を、俺は駆け出した。
《俺》も奔放なボーイズライフを楽しんでいることだろう。
「待ってよみぃや!」
「やだね! 追いついてみろってんだ!」
「言ったな!」
「あはは~愛ちゃんの俊足ぶりをとくとご覧あれ~!」
こういうやり取りはいつもと変わらないな。向こうの《俺》も同じような生活をしているのかもしれない。
まあ、何はともあれ。
俺は今のまま女としての人生を満喫するつもりさ。
男に戻りたいと願うその日が来るまでは。
オモテとウラのパラドクス ~朝起きたら女になってました!? TSから見る裏側の世界~ 朝食ダンゴ @breakfast_dango
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