エピローグ 3

「さて」


 二人も行ってしまったところで、最後の突っ込みを入れるとしようか。


「なんでこんなところにいるんだよお前は」


 俺は終始呆けた様相で傍観を決め込んでいた玲於奈に問いかけた。


「いや……私にも何が何だか」


 溜息が漏れた。むしろ溜息しか漏れない。


「まあでも、無事で何よりだ。みんな心配してたんだ。連絡も無く学校休みやがってよ」


「学校? あっ」


 思い出したかのような玲於奈。


「あの日、花ちゃんと一緒にお出かけして……んん、変だね。そこからの記憶がなくて」


 まあいいだろう。一日休んだくらいではなんともない。

 花ちゃんにまんまと誘拐されただけで済んだのは僥倖だろう。


「夢だったんじゃないか? 帰って寝れば、またいつもの日常が始まるだろうよ」


 俺もいい加減になっていた。色々あり過ぎた疲労のせいで、考えるのが嫌になっている。

 さっさと帰宅して、明日に備えて寝よう。

 それが最善だろう。俺にとっても、玲於奈にとっても。

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