7 初めてのひみつ
「命の
「お
大きなあくびをしたおデブネコは、
「このおデブで
クロツキの目がギラっと光る。
「お
シュッッ!
「危ねえっ! うぅ…」
コタツがまた鼻を
「コタツ!
わたしはハンカチでコタツの黒い鼻先を押さえた。ヒゲまでしょぼんとして、かわいそう。
「コタツは友だちでしょ!? いくらなんでもひどいんじゃない?」
「だまれ。ネコの社会は完全な
「でも二人とも人間にしてもらったんでしょう?」
それを言うと、クロツキの顔色がサッと変わった。
「なぜそれを知っている…!?
しまった!
こわいよ、どうしよう…!
「みゃお」
なにか他の理由を考えようとしたその時、かん高い声がした。ナナちゃんはもう少し
わたしがふり返るよりも先に、クロツキが
「
「はい!」
クロツキが
そう言えばあの中にネコトイレが二つあった。一つがナナちゃんので、もう一つがお猫様のなんだろう。
「ていうかあのデブネコ、トイレくらい自力で行きなさいよね?」
しばらくして、またクロツキに
なんてズボラなネコだろう! 歩こうともしないんだから。こんなネコ見たことない。けどこれだけ置物みたいなら、
けれど
それから
「クロツキはどうしてあんなに
ただ怒っただけじゃない。まるで人間全部を
「いつも
ふいに『変な顔ーっ!』『
そう言った二人は、わたしが
「クロツキは元々ネコだから、もしかしてネコの時に人間に
それなら、ああ言った気持ちも分かる気がする。
金曜日、昨日のクロツキの顔を思い出してロシアンブルーに行く気にはなれずに
「
今日はパパの
クリーム色の
坂の上公園の向こう側へ歩きながらネコを探すけど、今日は一ぴきもいない。
「去年は45
「46本買ってさ、ハリネズミみたいなケーキにしようよ」
「え~、せっかくキレイなケーキなのにもったいない!」
でもその様子を想像して、ママは
「パパに
「
ショーケースに並ぶ色とりどりのマカロンはデコレーションしてあって、見ているだけでときめいちゃう。わたしはリンゴ味がお気に入りで、真っ赤なマカロンにヘタが描いてあってかわいくておいしいんだ。
お店の奥には、ガラス
「ネコ!?」
思わず言ってしまってからママの顔を
人間のパティシエの中に
フサフサのネコの手にゴムベラを持って何かを混ぜ合わせている。外から見ているわたしには全く気付かないくらい、ものすごく
すると
戻るとまた
もう一度ボウルで
クロツキがここにいるってことは、今日はカフェはお休みなんだ。休みの日にル・ブランで
帰り道、坂を上りながらママが言う。
「
「それすごいの?」
「
「ふぅん」
「頭が良くて
「うん、それはそう思う。この間もやさしかったんだぁ」
「なになに? 教えてよー」
「帰ってから。マカロン食べるんでしょ」
「え~、早く聞きたいよぉ」
まるでママの方が
慶太君をちょっと好きなことはママも知っている。
けれどカフェのことはママに話していないんだ。これは”とりひき”だし、それになんとなくひみつにしておきたくて。
ママ、
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