4 ひだまりのビー玉
「じゃ、ちょっと待っててね」
クロツキは指でコチョのひげをなでると、カウンターの中へ入って行った。このお店、外見は新しそうなのに店内はカウンターもテーブルもイスも使い込まれたダークブラウンの木の色がツヤツヤしていて、大人っぽい感じ。
それに昨日は気がつかなかったけど、アンティークな店内にはいたるところにネコグッズがある。入り口の横には
そして
「にゃーん」
すると、店の
「あ!
だって昨日はこんな子いなかったもん。男の
さくらが手をさし出すと、スリッとしてあいさつし、もう
「その子はうちの
ナナちゃんはわたしの顔を見上げて「にゃ~ん」と
「カフェ ロシアンブルーのお店の名前は、ナナちゃんのことなんですね?」
「さくらちゃん、
ロシアンブルーっていうネコの
ナナちゃんはコチョに近づくと、前足をイスにかけて
「にゃ~ん」
甘えた声に目がハートになったコチョは、ぴょんとさくらのひざから下りて、ナナちゃんのおしりの
「あはは、これだけかわいいと好きになっちゃうよね~」
「はぅ…かっこいい…」
一方で
わたしの目には
「男の人が
「ほんとほんと、さくらの言うとおり」
「でも
「う、うん」
「
ズバッと言われて、わたしは思わず答えにつまってしまった。それでさくらは
「やっぱりね! でも慶太君は
「うん…。卒業したらもう会うこともないのかな」
「きっとそうなるよね。だったらさ、今度のナイトプールに
「月末の? ムリムリムリ! わたしなんかどんくさだしメガネだし」
屋内市民プールで行われる『ハロウィンナイトプール』というイベントで、今年は初めて行ってみようってさくらと
「
クロツキがぽってりしたマグカップを二つ
「ミルクと
「わぁー! ハート! すごーい!」
ふわふわに
でもだまされないこと!
わたしはペットボトルじゃないミルクティーは初めて。きっとさくらもそうなんだろう、どっちが先に飲むか、目で探り合った。でも
「
少し
「…ほんとだ。ペットボトルとちがうし、ぜんぜん
口に付いた
大人の飲み物だから少し苦いって
なんか、ゆったりした大人な気分!
「あれ、うちのコチョは?」
「うん? 店の
と、クロツキは奥のドアへ消えていく。
「ふふふっ、甘えんぼでかわいいね~」
さくらがナナちゃんに手を
さすがさくらは遊び方が上手で、ナナちゃんはもう
わたしは
「勝手に入ってくるなよ」
さっきまでさくらに見せていた
すわりこんで
「コチョになにをする気?」
「こいつは太陽をたっぷり
「どうやって?
ニイィと笑い、クロツキがコチョのたっぷりしたお
まさか、ツメでお腹を
昨日ツメを立てられた腕がズキンとする。
「やめてえっ!」
トントトントトントントトトン
そんな感じでお
「なんか
ウケッ ケッッ ウケケッ ケポンッ
これは…
ケポン ゥケポンッ ケポンッッ!
コチョが口から
その毛玉の中からクロツキは
「それが『ひだまりのビー玉』? よく
「人間の
クロツキが頭をなでると、コチョは
「そのビー玉をなにに使うの?」
「知ってるくせにとぼけるな」
「知らないし。わたしスパイなんかじゃないもん。だいたいどこのスパイよ」
「ひだまりのビー玉は
本で読んだ魔女にもいろんなタイプがいたけど、
「おれが一つ教えたんだからおまえも一つ答えろ。おまえはマンクス
「はい?」
今、マンクス
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます