#27

ナツミ (Aエースと会う約束をしてしまった…。しかもセッティングをあたしがやるのか…。お茶会なんてなんか高さがあって数段になっているお皿に一口で食べられるようなお菓子や軽食があることしか知らない。あとは何が必要なの?あ、お茶は必須かお茶会なんだから…。まぁ、でも紅茶の入れ方も知らないあたしがクレアちゃんになって初めてでもできたんだ。きっとどうにかなるだろう…と信じたい。)



クレア、会話が一段落ついたスマホの画面を落とす。



ナツミ (それはまた時間が近づいたら考えよう。それよりも今は目の前のことを一つずつ片付けることが大切だよね。)


クレア 「ご馳走様でした。」


ナツミ (さ、さっさとお皿片付けて早速ロイドから借りたノートに目を通そう。)



クレア、キッチンに食器を片付け、軽く流して、手を拭き、部屋に戻ってくる。テーブルからロイドに借りたノートを取るとデスクの椅子を引いて座った。



ナツミ (よっしゃ!この世界のお勉強始めますかっ!)



クレア、ノートを開く前に、明かりを探すように手を翳すと手の魔力に反応してほわんと光の玉が灯った。クレア、ノートを開こうと表紙に手をかざすと何やら魔力に反応して表紙の色が変わることに気がついた。



ナツミ (何この仕掛け…。ゲーミングノートブック的な…?いや、違う。表紙の色と一緒にタイトルも変わってる…!魔法史、魔法薬学、錬金術、魔法学概論…。これ科目名だ!つまり、一冊のノートで全科目使い分けができるの?うわ〜!便利!!)



クレア、一つ一つ科目の内容を丁寧に読んでいく。ノートは最初のページこそ乱雑な走り書きのメモのようなものに過ぎなかったが、ページを重ねるごとにそれは綺麗にまとまり、色の整理のついたものへと変わっていった。



ナツミ (いくら大魔道士を輩出する学校とはいえ、入学生はみな魔法の魔の字も知らないド素人。当たり前だけど、この1ヶ月はありとあらゆる分野で基礎を習ったみたい。結構な科目数あるけれど…一番大事なのは魔法学概論、かな。これは簡単にまとめると魔法を使うにあたっての概念とか倫理とか必要な基礎を全て叩き込む科目。この科目の担当教員はディアス先生。1-Aつまりクレアちゃんのクラスの担任の先生でもある。あー、あのディアス先生か…。明日の科目で踏ん張りどころはやっぱり概論だし、わからないところができたらホームルーム後にすぐ聞いちゃうのが吉かな。)



クレアは魔法学概論のノートを読み込んでいる。



ナツミ (まず、魔法の概念として。魔法は内的なあやふやな力であるために同じく内的な力に大きく左右される。ここでいう内的な力とは、想い、想像力、希望といった心を使うもの。だから、心をありのままに表現できることが直結して魔法の上達に関わる、と。これが関わってくるから、乖離の箱庭キャラは自由奔放で個性豊かな伸び伸びしたキャラが多い。ありのままをさらけ出しているその自由さが全員に滲み出ていて、よりキャラの魅力に磨きをかけていたんだ。格好も自由だしね。)



クレア、適当に紙を見繕いメモを取る。



ナツミ (あたしが覚えられる用の簡易なメモだけど。あとは大事そうなところだけをまとめると、今までの授業では魔力の種類として“基礎属性”、魔法の種類として“一般魔法”と“固有魔法”に分かれることについてやっていたみたい。順番に要点だけ抑えていこう。基礎属性、それは全部で炎、電気、水、氷、草木、闇、光、土、風の9種。この属性が何を意味するかというと、魔力はその量、色、オーラが人によって異なる。なので、人によって得意不得意な属性魔法が存在する。属性魔法は基礎属性と同じだけ種類があり、魔導士が最も得意とする属性魔法をその人の基礎として、基礎属性と呼んでいるというわけだ。次に魔法について。一般魔法とは俗に攻撃魔法、防御魔法、加護魔法等々、まぁ、魔法と呼ばれて浮かぶあれやそれや細かい区分を全部まとめたもの。で、ここからが休んだ期間の内容か。)



クレア、自分のノートを鞄から取り出し、同じく魔法学概論のノートを開いた。デスクの上にある卓上収納ケースのうち、ペンスタンドから筆記用具を取り出す。



クレア「ん…?」


ナツミ (まとめ方が同じ。そりゃ、クレアちゃんの方が字もきれいでもっときれいにまとまっているけど、でもやり方がほとんど同じだ!はは~ん、最初は何書いてあるかよくわからない散乱としたノートだなって思っていたのが段々と読みやすく、理解しやすくまとまっていったのはクレアちゃんのおかげなんだ。ノートの取り方を教えてもらったんだね。)



クレア、ノートの板書を自分のノートに写し始める。



ナツミ (大事なのは固有魔法の方で、その人の魔力のありのままを放出した魔法が固有魔法。魔法は主の精神とも深く関わりがあるため、強い想いとかが固有魔法の形になりやすい。魔法は無を有にするものであるため、体の主が一生のうちに最も心の底から望み(無から有にしたいもの)が自身の固有魔法となって現れる…と。だから、固有魔法は千人いれば千人違うし、一般魔法と比べると強力なものが多い。)



クレア、ノートではない紙の端が手に触れる感触がする。ノートにメモが挟まっていたのだ。



≪もうすぐ小テストがあるぞ!≫


ナツミ (あ、ロイドが残してくれたメモかな。テストがあるのか…。まぁ、クレアちゃんだし何とかなるでしょ!あたしもおバカじゃないし!)


クレア 「ふぅ。こんなもんかな。」


ナツミ (なんだ、結構面白いじゃん。別に元々勉強が嫌いだったわけではないけれど、こっちの方が断然楽しい。肩苦しい感じじゃないし。…いや、科目によるか。占星術、術式学、魔法言語学は既にやばい予感しかしない…。)



クレア、二冊のノートを閉じ、自分の物は筆記用具とともに鞄にしまった。



ナツミ (んじゃお次はクレアちゃんの手荷物検査しましょ。クレアちゃんがいつも持ち歩いている鞄には何があるのかな~っと…。)



クレア、鞄をあさり始める。



ナツミ (ふむふむ…。筆記用具、スマホ、ノート、メイクポーチ、プチ裁縫キット、お財布…。中自体はこんなもんか。んで、キーホルダーとして魔道具が小さくなって取り付けられていると。大きなリングに引っかかって、クレアちゃんの魔道具の大鎌、箒、某魔法使い映画に出てくるような杖がミニチュアサイズになってぶら下がっている。これかわいいな。普通にグッズとしてほしい。あとは…バッグのサイドポケットなんかに何か隠されて…ん?今、手に何か当たった感触がした。これは…何か薄い…紙…?)

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オリキャラは本編にはいませんっ‼︎ なわ @kokesyan

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