第39話 ダンジョンの街は

 カティと分断されてしまった。

ただのモンスターじゃない。知能がある。

そんなことは分かっていた。

グリーンアントと遭遇してからは警戒していた。

宝石アントを倒し、ダンジョン外へ出られるという一瞬の緩みを狙ってきた。

くそ。

グリーンよりも宝石よりもさらに上の個体。

まだあんなのがうようよいるのか・・・。


ダンジョン出口だったものは土壁で封がされさらに土に埋まって行ってしまった。

ここを掘って戻るのは無理そうだ。

カティ・・・。クロックとバンも無事でいてくれよ・・・。


やはり外の助けがいる。

スマホを確認してみる。

圏外じゃない!

これでズージェリアにいるエジに連絡できる!

軍を派遣してもらえる!

エジに電話をかける。

・・・・・・・

でない。

こんな時に!

何度もコールしていると後ろから木々をかき分ける音が聞こえた。

驚いて振り向くと猫がいた。

子猫たちも一緒だ。

外で俺たちを待っていてくれたのか。

「ダンジョンのある街「ドーナ」に向かってくれないか。」

というと

「にごぉ」

といいまた俺を背中に乗せてくれた。

子猫たちを首のもふもふにねじ込むと早々と出発した。



ダンジョンの異変をしらせなければ。

ダンジョン受付の人たち。

あの人達に知らせられればなにか対策を打ってくれるだろう。



猫は本当に言葉を分かっているようで、迷わずに進んでいく。

ここはリザードマンの国とズージェリアの丁度間くらいだろう。

左手に見える大きな川。

これを超えればリザードマンの国「チリリア」だ。

向こう側は見慣れない土管の様な施設がならんでいる。

国境の軍の部隊の駐屯所か。


あっという間に景色が変わり、ドーナ南口が見えてくる。

街の様子がおかしい。

南口の門が破壊されている。

街の中からは黒い煙のようなものが無数に立ち上っている。


南口から中へ。

街が露店が破壊されている。

様々な色の結晶が突き刺さっている。

街の人たちは姿が見えない。

真っ黒な大きな岩のようなもの、その先から黒い煙が出ている。


ダンジョン内でステータスだけは見た。

鉱物系のアントの地魔法、それに闇魔法の類か。


そう確信した。


街の住人たちはうまく逃げだしたのだろうか。

ダンジョン元にいた受付嬢や兵士は?


街を猫に乗ったまま駆ける。


ダンジョンの入り口は一番ひどかった。

門は破壊され中からモンスターたちが外にでたのだろう。

まるでダンジョン内から吹き出したように

様々な宝石を含んだ土魔法の槍柱が経つ。


さらには何体かのモンスターの死体。

応戦したであろう兵士たちの武装がところどころに転がっている。



死体が武装が東口へと続いていく。

ドーナに入ってきたとき、通った東口。


同じように露店が破壊され、それをモンスターの死体が押しつぶしていた。

ジャイアントアント・・・

街の兵士たちも相当熟練した兵士なのだろう。

巨大種や宝石系、毒系など進化個体もちらほら死んでいる。


ここでようやく兵士が倒れているのを見かけた。

まだ生きているかもしれない

猫を降り駆け寄る。

おかしい。

兵士が倒れていると思ったがそれは鎧だった。

脱ぎ捨てたというよりは、鎧兵の中身が、身体だけが吸い取られたような。

全身の鎧、胴体、胸当て、脛あてがキレイに並べられている。

そんな鎧が東口に向かうほど増えていく。


これをやったやつはいまズージェリアに向かっていっている。

ズージェリアへの道を真っすぐに進む、でかいアリの這った跡が残っていた。



俺はズージェリアへと目的地を変えた。







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異世界転移して5分で帰らされた帰宅部 帰宅魔法で現世と異世界を行ったり来たり @sazanami0829

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