ゆめのあと

荒川 麻衣

ゆめのあと

「もう書かないの?」

彼女は、私にそう聞いた。

「やり切った人間ならそんなこと思わないんだよ。

 きっと私は中途半端な形で夢を終わらせたから、夢が悪夢となって追いかけてくるんだよ」


私は、「彼女」に語りかけた。


いつ。いつから。


書かなくなった。書けなくなった?


セリフは山ほど頭に湧いてくるのに、

それを取りまとめる能力がない故に、

作品を書き上げる能力がない故に?


「いつかは、来ないんだよ。

 このコロナ禍で、新人、実績もない子に仕事を任せる人なんていないんだよ」



まるで堂々巡り。


「なら、その悩みをそのまま書けばいい」


「彼女」は、消えた。

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ゆめのあと 荒川 麻衣 @arakawamai

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