ロボ子の記録

 20XX年。未知のウィルスが蔓延した。人から人へのみ感染するウィルスに対抗すべく、人同士の接触を避ける生活様式が確立。交流は全てオンライン上で行われ、全ての業務はロボットが行った。これにより、ウィルス感染を完全に断ち切ることに成功する。



 20XX年。人類全体の免疫機能の低下により、かつては人体に影響のなかった常在菌による疾患が蔓延する。人類は、無菌空間での生活を余儀なくされる。



 21XX年。人類は新たな問題に直面する。性欲の減退、排卵障害、乏精子症等により、人類は急速にその数を減らしていく。



 22XX年。ほとんどの子供が3歳までに死亡する。原因は不明。有効な対策を講じることができず、ここ30年の間に3歳を超えて成長出来た子供は、6人のみになる。細心の注意を払いながら、この6人を健やかに育てる。



 22XX年。無事成人した6人は、それぞれに恋をし、結婚した。子供を生ませるかについて有識者で意見が分かれたが、本人達の強い希望により、子供を生ませることに決定。


 最初の妊娠は、サツキ。母子共に順調。


 数ヵ月後。ユキコ、ミユキも妊娠。


 サツキ。順調に正期産で出産。母子共に健康。


 ミユキ。妊娠6ヶ月目の流産。その時の多量の出血により、ミユキ死亡。


 ユキコ。難産で出産に32時間かかる。産後、原因不明の体調の急変により、ユキコ死亡。生まれたユキコの子供も、2週間後に死亡。 


 サツキ。2人目を妊娠。順調だったが、8ヶ月目に切迫早産で出産。サツキ、多量の出血により死亡。早産で生まれた子供は、死産。


 順調に育っていたサツキの1人目の子供が、サツキの死の数日後、原因不明の突然死。



 残された男達の精神的負担に配慮し、伴侶と子供の死亡は知らせないことに決定。


 しかし、トモヤは何らかの異変に気付き、ミユキ死亡の2週間後に、衝動的に外に飛び出し感染症に罹患。3日後に死亡。


 サトルは、妊娠準備中から伴侶に会えないことによる精神不安に陥っていた。対処不可能なまま、ユキコ死亡の半月後に錯乱し、自身の頭を壁に打ち付け、死亡。


 唯一残ったマモルの精神を守るため、サツキの画像と音声データを合成し、サツキと3人の子供達の生存を偽装。その後、合成データのサツキがマモルに寄り添い続け、精神の安定を図る。

 マモルは異例の長寿となり、72歳で天寿を全うするまで穏やかに過ごしたことをここに記す。

 



 識別番号ROBO -CO29743  

 通称 ロボ子

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