カイルは好奇心旺盛な研究者で未知の惑星を探索するプロジェクトに参加しているクルーの一人。そんな彼は、とある惑星の調査中、ちょっとしたトラブルから現地の少女と出会います。しかしこの出会いが、カイルをこの星に深く関わらせることに──。
SFな描写から始まる物語ですが、降り立つ惑星は機械文明が発達する前の国々。近未来的な場所から、一気に話が全近代的な世界へと移るのですが、この流れがとても見事です。
研究者として、そして人として、どんどんエトゥールに深入りしていく主人公カイルの行動は、やがて現地の人々や観測ステーションの研究者をも巻き込んで、さらにエトゥールに深く関わっていくことになります。
なんと言っても、研究対象(惑星)を前に、あっさり禁忌を犯して調査を始めるカイルたちは、清々しいほどに研究馬鹿。そしてそんなカイルを「精霊の御使い」と慕い支えるファーレンシア。カイルを手玉にとって利用する、ファーレンシアの兄・賢王セオディア。
彼らを取り巻く人々も、みんな個性的で面白い。それなりの登場人物が出てきますが、大丈夫、全く問題ありません!
惑星の人々が、カイルたちの高度な文明技術を目の当たりにして驚くことは当然なのですが、しかし、カイルたち観測ステーションの研究者たちも、この惑星の人々に強く惹かれます。彼らの生命力あふれる力強さは、文明の発達でカイルたちが失ってしまったものなんですね。
この決して交わることのなかった両者の交流がもたらす結末とは??
ぜひぜひ手にとって読んでくださいませ!