ドラグ・ルージュ (※lily注意) (短文詩作)

春嵐

ドラグ・ルージュ

 朱い目の女。

 襤褸のようなものを着ている。


「あの目」


 綺麗だった。

 彼女と交われば、わたしの目も、あんな風に朱くなるのだろうか。

 女は、誰に気にされるでもなく、とぼとぼと歩いている。買い物の類いではないらしい。


「あなた。女と交わる気はあるかしら?」


 朱い目が、こちらを向く。

 まなざし。

 そして。

 口を開いて。


 」


 何か言ったらしいが、聞こえない。音波のような、微かな音がするだけ。


「おいで。わたしのほうへ」


 結局、交わってみれば。

 拍子抜けの結果だった。

 彼女の目が、蒼くなっただけ。



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ドラグ・ルージュ (※lily注意) (短文詩作) 春嵐 @aiot3110

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