9日目。彼女の事情。

 かやの家から帰ってきた翌日。今日は午後からバイトがある以外特に予定はなし。


 かやに聞きそびれた事情とやらを聞こう。


 頭の中で予定をたてていると、布団の中の違和感に気が付いた。


 布団を捲ると、かやが丸くなって寝ていた。


「かや、起きて。布団が違うぞ」


 目を覚ますと僕に手を回し、二度寝する。かやが起きるまで僕はスマホをいじることにした。


「――で?なんで布団の中にいたの?」


「安心したくて。あと、寂しくて。ごめんなさい」


 テーブルの向かいに座り、コンポタを抱え寂しそうな顔で話す。


「家の事情としては、母は元父の元から逃げたんです。元父は無職なのに威張って、暴力を振るような人でした。まだ、無関心な方がましだと思っています。そんな、母を今の父は働かない、出て行かないことを条件に再婚しました。父は、自分と母の子であるみなとが大事なんです。

連れ子である私は特に愛されることもなく、何かされることもなくここまで生きてきました。かろうじて、父は私が行きたい学校への学費は払ってくれています。それがせめてもの愛情かと勝手に思うことにしてます。

あまりこういう話を先輩にはしたくなかったんですけどね……重いって言うか、先輩に気を使ってほしくないから……」


 愛されて育った身としては確かに重く感じるかもしれない。でも、かやは愛情を知らないわけじゃない。少し寂しがりかもしれないけど。


「私、先輩と同じ高校だったんです。高校の頃から先輩が好きで、メイクとか自分磨き頑張ったり、先輩のこと別アカでフォローしてたりもします。そこで今の大学に行ったのを知って同じ大学に行きたいなって思って頑張ったんです。途中いろいろあって、実は今回先輩のお父様から、先輩の家に住むことを提案されたんです。先輩に会いに行って、住むとこないって言ったら家を貸してくれるだろって、先輩のお父様がおっしゃって……」


 あんのクソ親父ぃ!んな話一言も聞いてないぞ!?


「私、先輩のお父様にはたくさんお世話になったんです。ほんとに感謝してもしきれないくらいです。この人が私のお父さんだったら幸せだろうなって思ったりもしました。でも、ない物ねだりですから」


「あんな親父でよければたくさん甘えていいよ。できること全部させるから。まあ、家は少し遠いけど、夏休みとかに帰ろうよ」


 しょうがない。本当にあんなのでよければいくらでもかやが満たされるまで好きにしてほしい。例えばキャンプとか、海とか連れて行ってもらおうじゃないか。


 寂しかったんだろうな。だからと言って同じ布団はだめだけど。


「先輩、ありがとうございます。あと……いつかお嫁にもらってくださいね?」


 最後の方は小さい声だったがしっかりと聞こえてしまった。


 どうなるんだろ、僕の人生。なんか先が怖いなぁ……

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かやとあおいがイチャイチャする話 ゲソフェチ @gesofechi

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