第8話 滑走

その日は、午後3時に解散したので、ゴンドラ経由で焼額山頂上まで行った。青空と光輝く沈む太陽に向かって、風を切る風圧と、エッジで削り取る粉雪が、キラキラと後ろに流れて、ジャンアントスラロームコースを滑ってきた。

(やっぱり、団体より一人の滑りが楽しいな・・)と俊は、呟いた。


夕食になった。チャイムが鳴ってすぐに行ったが、もう10人ほど、並んでいた。トレイを持って、順番に山盛りのサラダとカレーを取って席について食べ始めた。同じチームの勇人が窓際の席にいたのでその前に腰をおろした。

「解散後はどこを滑った?」

勇人は、「ジャイアントコース」と。

「そこ、いいよな」

「そうかも」勇人はあまり乗り気でない返事。

「今日みたいな天候だと、一人で滑るの爽快だよな」

「まあな」変わらず気のない返事。

その後、もくもくとカレーを平らげて、「じゃあな」と先に部屋に戻った。


夕食後の反省会が始まったので、ロビーに降りていった。

勇人の隣に座った。

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揺れる @kawagoeshun

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