第12話 一方そのころ
そして千鶴さんは話し始めた。
「前にお前さんたちの家に行ったとき盗聴器があったとかのはなしをしただろう?
あの時はみつからなかったと言ったが、実は結構な数見つかってな。
そして実は本部には何も設置されていなかったんだ。
つまり敵は二人の家の周りにしか盗聴器をおいてなかったということになる。
そこから鑓原は敵にも能力を使用したスパイがいると、あたりをつけたんだ。
あたりをつけた詳しい理由とかは教えてもらえなかったけど、結果本当にスパイがいてね。
気づいた時には時すでに遅く、こちらの行動はすべて流されてしまっていたんだ。
でも鑓原はその状況を逆に利用して少しでもこの状況を好転させようとしたんだ。
そして、そのスパイを利用して偽の情報をつかませるために偽の作戦を伝えるための会議を昨日したんだよ。」
攻めてくるまでは安全だと思っていた自分の認識は甘すぎたようだ...
敵は既に手を打ってきていたようだ。
そこまで調べがついているのなら個人を暗殺する方が確実な気がするが...本当になめられているらしいな。
「そういうことだから、昨日話した作戦は本当の作戦じゃないんだ。
敵構成員300人が昨日のうちに移動を開始し、私たち主力メンバーがいない間にこちらの本部を攻め落とすため
東京近辺に潜伏しているらしい。
そしてその中に敵主力メンバーの二人もその中に確認された。
確認された二人は佐々木と十文字という敵の戦闘員の中でも特に強いやつらしい。
鑓原はそれを一人で対処するといっていたな。
まぁ、そのくらいの数なら鑓原の能力でなんとかできるから大丈夫だろう。」
鑓原さんなんとかできちゃうのかよ....
本当にであの人色々とすごいのな。
「そして私たちは昨日の作戦と変わらず敵本拠地に向かい、敵主力と班目の無力化もしくは討伐が目的となる。
敵にこちらの動向を察知されてしまっているから正面からの戦闘になる。
作戦変更とはいったもののただ状況が変わっただけでやることは変わらない。
それではさろそろ時間だ、いくとしよう。」
そういうと移動を開始した。
しかしこっそり千鶴さんが近づいてきて俺の耳元であることを言った。
「これは鑓原からの伝言なのだが、
敵の狙いは君だ。
班目はおそらく君を狙ってくるだろうから、君が班目の相手をしてくれ。
以上だ。」
それだけ言うと千鶴さんは俺から離れて搭乗口の方へ向かっていった。
主人公一行が飛行機で上空にいる間に東京本部前では大変な事態が起こっていた。
~~鑓原視点~~
「いやー、ほんとに僕らが留守にしている間にここつぶそうとしてたのか。
幾ら僕たちのことなめているとはいえ流石に勝ったつもりで物事進めすぎでしょ。」
今目の前には300人の武装した人間と、槍と刀をもった二人が立っていた。
槍を持っているやつは十文字、刀を持っているやつは佐々木だろう。
槍を持った男、十文字が前に出て鑓原を睨みつけながら話し始めた。
「聞いてた話だと本部にはお前みたいな戦力はいないはずだったんだがなぁ。
なんでお前がここにいるのかはしらねぇがこりゃ好都合だぜ。
こっちに残ってるのは雑魚だけだって聞いてたからよ、少しは楽しめそうで俺は嬉しいよ。
なぁ佐々木?」
「あぁ、そうだな。」
どうやら佐々木の方は無口なようだ。
それに対して十文字の方は荒くれ物のような感じだ。
「相変わらず無口な奴だぜ。まぁいいか。
ここ俺らでぶっ潰す前にまずはお前で遊んでやるよ。
ほら、いくぞ。」
そういうと十文字は一瞬で距離を詰め、手に持つ槍で僕の腹を狙ってきた。
かなりの速度だったが、僕の手に持つ槍でなんとか受け止めることができた。
「それがお前の武器か。
話に聞く通り平凡な見た目の槍をしているな。
俺の槍と比べるのがかわいそうなぐらいだぜ。」
確かにやつの言う通り僕の槍は柄が細く、刃も短い。
装飾も柄に少し筋が入っているだけで地味な見た目というのはもっともだ。
それに比べやつの槍は柄がやや太めで、刃が十字になっている、いわゆる十字槍というものなのだろう。
装飾は金や銀などがちりばめられていて、金の龍を模した模様が確かにかっこいいな。
「しかしお前..本当に強いのか?
俺のあいさつ代わりの突きを受け止めるので精いっぱいだったようだが。」
確かにやつの言う通り僕自身はそこまで強くない。
しかし、この槍は別だ。
「ふむ、やはり僕の能力自体は知られていないようだね。
まぁみせたことあるの千鶴ちゃんと梨花ちゃんと...あの子だけだし当然だね。」
そう、僕の能力をじかに見たことあるのはその三人だけだし、それ以外でしってるのは真純ちゃんだけだ。
つまりこの場の誰も僕の能力を知らない。
「まぁお前自身が強くないならもういいか。
とっとと仕事終わらせて帰ることにするわ。
佐々木、とっととこいつ殺して中のやつらも皆殺しにするぞ。」
どうやら僕に飽きてしまったようだ。
こいつらから聞きたい話があったのだが、それはスパイの方にきくしかないようだ。
話をきける人が多いに越したことはなかったが、流石にそうもいってられないようで残念だ。
二人が僕の方に詰め寄る前に、僕は後ろを向いて自らの武器の名前を口にした。
「ゲイボルグ」
突如空から降ってきた槍によって目の前にいた敵は全員息絶えていた。
「ま、流石に僕のことなめすぎたね。」
そしてそれと同時刻、いつもロビーの受付カウンターにいる女性は外に人が集まっているのを確認して
一人この場から立ち去ろうと準備をしていた。
そして、準備を整えて裏口から逃げるようにこの場から立ち去ろうとしているところを....
「「ちょっとまちなさい」」
二人の女性に呼び止められた。
「なんですか真純さん。それと、杏華さんでしたっけ?
急いでいるので手短におねがいしたいのですが....。」
「四月朔日百合[わたぬきゆり]さん、あなたのしてきたこと全部お見通しですよ。
杏華さん、高速をおねがいします。」
そういわれた杏華は百合とよばれた受付嬢を拘束した。
「一体何の真似ですか?急にこんなまねして...。
私が一体何をしたというんですか?」
「それはですね、あなたが能力者であることを隠してスパイ行為をしていたからですよ。
自分が一番わかっているんじゃないですか?」
「私は魔導書なんてもってませんしスパイ行為なんてしてません!
なんの証拠があってこんなことするんですか。」
すこし泣きそうな表情をし始めたが、次の一言でその表情が凍り付いた。
「あなたが他人の視覚と聴覚で得た情報を入手し、特定の人物に共有することができる能力であることは
私の能力で既にわかっています。」
そう、この杏華の持つ魔導書の能力は敵の使用している能力を看破することができる能力なのだ。
「鑓原さんにあなたを殺さずにとらえるようにいわれているにで命だけはとりませんが...
それなりのことは覚悟してくださいね。」
時は過ぎて主人公たちが空港に降り立ったところ。
過激派の影響下にあるのに思ったより普通な感じで、思っていた感じと違うので少しほっとした。
だが、空港から出ると雰囲気が変わったような気がした。
周りを見渡してみると、道行く人々の表情がなんだか暗く見えるような気がした。
いつの間にか近くにいた風魔さんからマークのついた地図を渡された。
このマークのある場所に...敵がいるようだ。
その場所は徒歩15分ぐらいの場所だったのだが、そこに近づくにつれて人気がどんどんなくなっていった。
そしてマークのついたところにつくと、古い大きな建物が目の前にあった。
外壁には植物が少し生えていて本当にこんなところを本拠地にしているのかと疑うレベルだった。
なんかの間違いじゃないかな...と思っていると
「ここでござる」
と、風魔さんがどこからともなくあらわれて教えてくれた。
「敵はこちらが来ることをわかったうえで待ち構えているので、各人警戒を怠らずたのむでござるよ。
拙者は別にやることがあるのでここでおさらばでござる。」
そしてどこかへ消えてしまった。
「じゃあ、はいろうか。」
そういった梨花さんが先頭になって中に入っていった
放置国家 @saya-_-maru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。放置国家の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます