第23話

時は、11月2日の日中であった。


あいつの家から家出したアタシは、うんと遠い街へ逃げたあと行方不明になった。


だから、あいつの家がどうなろうとアタシは助けない…


時は、11月2日の午前11時半頃であった。


義父は、小松崎さんが苦心して建てた新築の家に勝手に入って、勝手し放題していた。


小松崎さんのご家族は、家を出たあと行方不明になっている。


家の冷蔵庫にしまっている食べ物を勝手に食べる…


奥さまと中学生の娘さんのクローゼットをこじ開けて、下着類をあさる…


義父の悪行は、防犯カメラに記録されている…


しかし、義父は防犯カメラの前で勝手し放題していた。


その頃であった。


ところ変わって、あいつの家にて…


あいつの家に、義母の弟夫婦(あいつの伯父夫婦)が不動産屋さん(仲介業者)とハウスドゥ(不動産査定会社)の人を連れてやって来た。


義父が小松崎さんが建てた新築の家で勝手し放題をしている…


義父母が伯父夫婦とヤクソクしたことを破ったので、家を売却することにした。


あいつの家の所有権は、伯父夫婦の名義で登記されている。


だから売却すると言うことだ。


伯母は、よりし烈な怒りを込めて義母に言うた。


「あんたらは、この家の名義はうちら夫婦の登記になっていることが分かっていないわね…」

「分かっているわよぉ~」

「この家は、もとはうちら夫婦の家族たちが暮らす予定だったのよ!!…あんたら、へらみしないで人の話を聞きなさい!!」

「聞いてるわよぉ~」


義妹は、キッチンでお茶をいれている。


広間では、伯父夫婦と義母たちが話し合いをしていた。


伯母は、よりし烈な怒りを込めて義母に言うた。


「この家は、うちらのわずかな貯えを頭金にしてこうた建売住宅なのよ…リフォーム代込みで1900万円よ…35年のローンを組んだのよ…あんたらは、うちらが苦心してこうた家に土足で上がり込んだのよ!!わかっとんかしら!?」


(バーン!!)


伯母は、平手打ちでテーブルを叩いて義母をイカクした。


伯父は、ものすごくあつかましい声で言うた。


「義姉さんは、苦心して家を建てた人の気持ちを踏みにじったから一生許さない!!…私たちが引っ越しをしようとした時に、あんたが3人のこ連れて出戻った…『ダンナとリコンしてやる…』とうちらにわめきちらした!!…ダンナ変えてくれと言うた…その時、うちらがどんな想いをしたのか分かっているのか!?…『家がない』とビービービービービービービービービービービービービービーこが泣きよったけん、仕方なくこの家をゆずった!!…その時にうちらは条件を提示した!!…(義父)方の家の末っ子(義父)とサイコンしてやり直せ…今ある家に満足だと感謝して暮らしなさいと言うた…それなのに、うちらとのヤクソクをすべてホゴにした!!だからきょう家を売却するのだ!!」


義母は、居直った声で言うた。


「分かったわよ…家を売りたいのであれば売りなさいよ!!うちと菜永に死ねと言うのであれば死ぬわよ!!」


義母は、伯父夫婦に背中を向けたあとはぶてた(ひねた)。


このあと、不動産屋さんとハウスドゥの人が家の査定を始めた。


査定の結果、家は3000万で売れた。


3000万は、伯父夫婦の口座に振り込まれる…


家が売れたので、あいつらが住む家はなくなった。


時は、深夜11時50分ごろであった。


ところ変わって、市内三番町の八坂公園の近くにあるラブホにて…


ラブホには、あいつと女がいた。


女は、あいつが在籍していた伊予銀行の本店勤務の女子行員である。


女は、あいつからセクハラの被害を受けた。


…にもかかわらず、女はあいつにイソンしていた。


女とあいつは、うす暗い灯りが灯るベッドの上で全裸になって激しく求め合った。


「あっ…イヤ…」


あいつは、女の右のくびすじにキスしたあとデコルテ~ふくよか過ぎる乳房に向かってスリスリと甘えていた。


あいつは、女の105のJカップのふくよか過ぎる乳房に抱きついて甘えている。


「(女)。」

「あっ、麗斗(かずと)…」

「後悔しない?」

「後悔しない…」

「ああ…」

「麗斗…麗斗…」

「(女)、(女)…」


あいつと女は、し烈な叫び声をあげて求め合った。


それから数時間後…


「ああああああああああああ!!」

「麗斗ー!!墜ちる…墜ちる…墜ちるー!!」

「一緒に墜ちよう…地獄へ墜ちよう!!」

「麗斗ー!!」

「(女)!!」

「麗斗ー!!」

「ああああああああああああああああああああああああああああ!!」

「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


そして、女とあいつは最高潮に達した。


午前4時頃であった。


女が目ざめた時、あいつはひどく苦しんでいた。


「どうしたの?ねえ、どうしたの?」

「苦しい…目まいがする…助けてくれ…」

「たいへん…どうしよう…」


女は、ひどくとまどった。


女は、着替えをすませたあと黒のハンドバッグを持って外へ出る準備をした。


「お医者さんを呼んでくるから待っていてね…すぐ戻ってくるから…」


その後、女はホテルの裏口からスタコラサッサと逃げた。


その間、あいつはひどく苦しんだ。


そして朝6時過ぎに、あいつはノウザショウを起こして亡くなった。


同じ頃、東温市の重信川の河川敷で義弟が遺体で発見された。


義弟は、重信川の河川敷でヤクザの男と大乱闘を起こした。


その末に、ヤクザのチャカでドタマぶち抜かれて亡くなった。


朝9時頃であった。


小松崎さんが苦心して建てた新築の家に、愛媛県警の刑事たち40人が突入した。


40人の刑事たちは、義父を逮捕した。


「離せ!!ワシは悪くない!!」

「立て!!立てやクソジジイ!!」


このあと、40人の刑事たちが義父に集団暴行を加えた。


それから2時間後に、40人の刑事たちはぐったりした義父にトドメを刺した。


刑事たちから暴行を受けて亡くなった義父は、犯行当時心神喪失状態であった。


だから、刑事たちは義父をボコボコにどつきまわした。


さて、その頃であった。


あいつの家から家出したアタシは、あいつの家の最期を見届けるために再び松山にやって来た。


アタシが乗っているJR松山駅行きの特急バスが新久米のバス停に着いた。


そこでバスを降りたアタシは、赤茶色のバッグを持って現場へ向かった。


遠くで、家が壊れる音が聞こえた。


アタシは、あいつの家の手前500メートル先へ向かって走った。


アタシが現場に着いた時、あいつの家は全体の3分の2が壊れた。


日立建機のパワーショベルがあいつの家を破壊して行く…


次の瞬間…


義母と義妹が、パワーショベルのキャタピラー(車両)にひかれてつぶれた。


義母と義妹は、家をなくした悲しみで生きる希望をなくした…


だから、パワーショベルにひかれた…


アタシは、家の手前500メートルの場所からあいつの家が壊れて行くさまをするどい目つきで見つめていた。

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2・5世帯のなみだ 佐伯達男 @cfzf5698xp

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