さすが麻生さん!といわざるを得ない小説です。十万字作品の頃から思っていたことですが、とにかく選ばれる言葉のひとつひとつが美しい。物語と共にその「文章」自体に味わいがあります。言葉を楽しみ物語を想像して楽しむ。一度で二度楽しみのある小説だと思います。
その一節に彩りがあり、空気があり、時が流れている。二次元であり、三次元であり、一本の繊維が合わさり、さらに大きな一本となることで、立体というものを感じさせる言葉達。紡がれる言葉がとても美しく、するすると心の奥底にまで辿り着いては語り掛けてくる。ここに居ますか、どうですかと。優しくノックをするように。とても楽しませて頂きました、有難うごさいます。