補助輪のない自転車に乗ることが出来るようになった。

それだけでうれしくて走り回った。


変速機のついた自転車を買ってもらった。


どこに行こう。

どこにでも行ける。

勇気と未知の世界へのあこがれが僕の翼。

いつだって見たことのない世界を目指した。


免許を取った。

楽がしたかったわけじゃない。

ただ、知らない世界が広すぎただけだ。


ここではないどこかへ

ただひたすらに向かって行った。


時間に縛られ、憧れは現実になって、勇気はしぼんで、

未知は既知となり、すべてを知った気になった時

錆付き始めた身体と機械が、今いる場所に留まらせようとする。


僕が興味と勇気という翼を失った頃

翼を持った君に出会った。


君の興味と未知は、僕の翼。

僕が君の足。


二人でどこにでも行こう。

走るたびに新しい発見が待っている。

ずっと二人で

ずっとどこまでも。

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恋の詩 鷹山勇次 @yuji_T

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