8.創作物は世界を変えられるか
長々書いてしまいましたが、おそらく、そういった判断を、多くの方は瞬時にしているのだと思います。だからこそ人気作品は一気にのびるのかな、と。
それはともかく、自分は誤った認識をしていたのかもしれません。
なろうサイト様で自分が読んでいたゲームっぽい小説の書き手は、その共感できる内容から、おそらく自分と同年代かその付近です。ゲームっぽい作品ではなくても、少なくとも自分が読んだ作品の作者や、言葉を交わした作者は大人のみで、狙ってラノベ風に書いている感じがありました。
だから勝手にこう思っていました。
一種のシャレというか、わざとこういう風に物語を書いているんだな。
なろうサイト様にある小説は、自分と同じで現実に疲れた大人の癒やしみたいな存在なんだな、と。
昔の自分が読んでいたジュニア小説は、書いているのは読み手と同年代ではなく、それなりに年のいった大人で、読み手である若者に対しての気遣いみたいなものを作品を通してうっすら感じられました。
ネット小説とは、それの大人向けみたいなものなのだから、そこには若者に対する気遣いというよりも、「同年代の大人として共感できるあるあるネタ満載で書き手と同じ境遇の読み手を癒すもの」であったり、「書き手自身が自分自身を癒すために妄想全開で書き綴るもの」であったりで当然だな、と、自分は勝手に「ネット小説は大人の癒し」だと認識していたのです。
自分がネットで最初に楽しんでいた二次創作にしても、「原作はああだけど、実はこうだよね(もちろんそんなわけないんだけど)」とわかっていて、普通のファンの方には受け入れられないのも知っているし、おおっぴらにはできないから、ネットで同志とこっそり楽しむような存在でした。
「キャラ解釈の違い」は当たり前で、そういうときは静かに通り過ぎ、好みのパターンにであうまでひたすら探すものでした。
だから自分はどんな小説だろうと、結局は「人ぞれぞれの解釈違い」であって「小説じゃない」とは思わない(思わないけど、ブラウザバックはする)。
そういったことから、ネット小説がある場所とは、そういう「そんなわけないとわかっているけれども、あえてこう書いている」という前提みたいなものを持っていて、前提こみで楽しむ大人がいる場所、みたいに思っていたのです。
自分がネットで小説を読むようになったのが成人してからだったのもあるし、なろう小説を読んだにしても、ほんの一部だったために、おそらくいるであろう若者の存在に気づかず、自分は勝手に誤解していたのです。
ネット上の小説を読むにはPCかスマホがあれば良く、今ではスマホならイマドキの中学生、へたしたら小学生だって持っているのに。
ところで、放送しているアニメを全部見るのは物理的に難しいため、気になったものだけを録画予約しています。
それでもけっこう多くて、やっぱり時間的に全部は見られません。
最後まで追いかけられるのは一期に0~3作品です。
あれこれ一話をチェックしてこの先も見続けるかどうか決めていると、別の部屋で遊んでいたはずの小学校低学年の子どもがうしろから見ていて「おもしろい」と言うのです。
その時、危機感を覚えました。
うちはテレビやアニメを見せないと決めている家ではありません。
自分がホラー系は苦手なため、血みどろぐっちゃな作品もありません。
その時チェックしていたアニメは、気づいたら遊んでいたゲーム世界のキャラになっちゃってたというあるある話で、自分好みの絵で繰り広げられるいかにもなラブコメ展開に「癒されるなぁ」と、によによしていたところでした。
子どもがアニメを取捨選択したわけではなく、本来なら深夜に放送されているアニメを、うっかり子どもが起きている昼間にチェックしていた自分が全面的に悪いです。
まだ善悪も微妙なヒトケタの子どもに、この物語は見せて大丈夫か?
少年誌くらいのお色気だけど、少年誌って何歳から読むんだっけ?
子どもの貴重な時間を使ってまで見せたいものなのか?
自分はこの作品に打ち勝つくらいの「刷り込み」を子どもに与えられているのか?
もし与えられていたとしても、同じような作品を見続けたらどうだろう?
数は力です。
自分がそれ以上の「刷り込み」を子どもに与えればいいだけですが、子どもが「おもしろい」と言ったように、たしかに「わかりやすいおもしろさ」があるのです。
「わかりやすいおもしろさ」に、自分が与える「刷り込み」は勝てるのか?
「おもしろい」に弱い自分は「負ける!」と思いました。
せめて十歳くらいまでは家でメディア規制しておかないと、とあらためて危うい気持ちになりました。
「わかりやすいおもしろさ」は強い。
数も強い。
親としては、
「しっかり『刷り込み』して、うっかり『刷り込み』を塗り替えられないようにしなくては」と思いました。
読み手としては、
「塗り替える作品も素敵な作品であってほしい」と思いました。
書き手としては、
「妙な『刷り込み』だけはしないような作品を作ろう」と思いました。
お色気系は、もう少し子どもが大きくなってから一緒に楽しみたいと思いました。
まぁきっとその頃には一緒になんて見ないでしょうが。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
創作物は世界を変えられるか~ポンコツAIの考察~ 高山小石 @takayama_koishi
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