エピローグ
ここは呪われた森。
一年中葉を落とさぬ木に囲まれ、日差しも通らない。
薄暗くよどんた空気が漂う森。
森の奥には人食い魔女がすむといわれ人間は誰も立ち寄らない。
だから誰も知らぬ森の奥深く。
その花畑は広がっている。
ひまわりやカーネーション、ダリアに カルミア。
真ん中の石を囲うように、黄色にピンク。色とりどりの花々はまるで魔法にかけられてるように日が通らないこんな森でも咲き誇る。
石の前には大きな白い花束が。
数ヶ月に一度男性に連れられ少女と少年がここにやってくる。
その少女がいつもかかさず持ってくるのだ。
昨日もまた少女達はやってきた。
「実はお兄さんとそのお知り合いの方々の魔法と尽力でなんと私たち学校に通いはじめたんです。」
嬉しそうに笑う彼女はもうすでに少女と呼ぶには大きな年齢となっていた。
「私もエルも同世代のお友達なんて初めてで、まだどうすれば良いかわからないことばかり。どうやら同い年の友達を作るというのは難しいことみたいです。」
「かってにねえさんと一緒にしないでよ。僕はちゃんとすぐできたよ。」
「それは、まあ。。。何ででしょうね、町の人たちとかとはうまくやっていけてるつもりだったんですけど。同い年だとどうも距離がつめれねくて。
魔女さんの人を寄せ付けないオーラがうつったのかしら。」
「魔女さんが聞いたら怒りそうだよ、それ。」
「それに対してはあんま怒らないと思いますよ。でも、学校に行くっていうこと自体に悪くおもってくれてないといいんですけど。」
そういう少女の声には少し後ろめたさが含まれる。
「テイなら君たちが楽しいとおもうならきっと喜んでるよ。顔はしかめっ面だろうけど。」
からかいげに男性が横やりを挟む。
「そうですね。だといいです。」
どこかさびしげな笑いとともに彼女は返す。
そっと吹く風がふき、彼女の髪がきれいに揺れる。
穏やかな時間はそっとながれていた。
墓石にはこう刻まれる。
『テイアー
人を恋い焦がれた心優しき魔女ここに眠る』と。
アザレアの花をあなたに @Tokiha-midoriba
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
希望の魔女と終焉の魔女最新/霖
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます