天然石が降ってきた。

@karen_n

第1話 出会い

この光輝く石が俺の人生を変えた。


あの石はもうここにはいない。


でも、これからもずっと俺の中にいるんだ。


俺たちは出会うべくして出会ったんだ。



あれは2年前の冬。


今日みたいに身が凍るほど寒く、雪が静かに降り続いている夜だった。

俺は一人暮らしをしている。

田舎から小説家を目指して東京に来た。

もちろん、なにもあてはなく、ただただ飛び出してきた。


金もない。


あるのは祖父にもらった欠けた石。

東京に来る前にお守りとして持っていけと無理やり持たされた。

でも、ついこの間、祖父はぽっくりいった。


 もう1回話したかったな。


そんなことを思いながら夜の街を歩く。


会社終わりだろうか、酒に酔っ払ったサラリーマン。

手を繋ぎお互いの体温を補うように歩くカップル。

落ち込んだ表情でとぼとぼと歩く女性。


 振られたんだろうか。


「ふう。」


人のことを気にしている場合ではない。

彼女いない歴年齢の俺。フリーター。誰がこんなやつ相手にするかよ。


 今日もコンビニで飯買うか。


家に帰る気にもなれず、

誰もいないシンとした公園のベンチで虚しくおにぎりを頬張った。


ふと、星ひとつもない東京の空を眺めていたその時だった。


「 ピカっ! 」


お!流れ星か!そう思った瞬間だった。


「ゴゴゴゴゴゴ。」


いやっ、違う、これは!、こっちに向かってってる!!!!

逃げようと思った時にはもう遅かった。


「ゴゴゴゴゴゴ。」


慌てて頭を手で覆う。



「コツン」


その音と共にあたりはシンと静まりかえった。


恐る恐る手を下ろした目の先にあったのは、、、


石だった。


まるで空に光り輝く星がそのまま落ちてきたみたいだった。キラキラしている。


気付いたら俺はパーカーのポケットに石を入れていた。


 別に誰のものでもないしいいだろ。



ま、まさか、


明日の朝あんなことになっていようとはこの時の俺は知る由もしなかった。



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