第2話 異常生物討伐コース
「ふあ...」
今日は遂に異常生物討伐コースが一体どんなコースなのかがわかる...
お母さんが起きる前にササッと朝ごはんを作り置いて、僕は早めに出かけることにした
「行ってきます...!」
家を出て学校に向かって歩いていると、遠くの方に颯太が見えた。
「颯太!おはよう。」
「おお、柊斗か。お前も早めに来たんだな。」
「うん、何となく気になっちゃってさ...」
「ははっ俺もだ、早く行こうぜ。」
こうして僕達は2人で小走りで学校に向かった。
しかし正門が開く5分前に着いてしまったので、少しだけ待つことにした。
すると、東寺先生が正門の前に来た。
「おお、お前ら早いな。二番目だよ。」
「はい、昨日のコースが気になってしまって...」
「そうか、じゃあ特別に少しだけだけど早く入れてあげよう。」
そう言うと東寺先生は、正門の少し横にある小さな鉄格子の扉を開けてくれた。
「さあ、入ってくれ。バレるとちょっと叱られちゃうのでね。」
そう言って先生は僕たちを促し、異常生物討伐コースの場所に一緒に着いてきてもらうことになった。
「実はね、私が担当するコースが異常生物討伐コースなんだよ。」
「ええっ!?先生がこのコースの担当なんですか?」
「ああ、あと朝だから静かにね」
「すいません...」
普通に驚いてしまった、こんなにかっこいい人が、こんなによく分からないコースの担当なのか...
ますます気になってになってきたぞ...
「よし、着いたぞ。」
「おいおいこの場所が教室なのか?」
颯太がそういうのも不思議ではない。
何故なら、扉の上に掛けてある看板。
というかボロっちい板には筆の直書きで異常生物討伐コースと書かれていた。
しかも壁には落書きが大量に描かれている...
「まあ、そういうのも予測済みだ。取り敢えず中に入ってくれ。」
古臭い錆び付いた扉を開けると特有のキイイという不快な音がする。
中は案の定ホコリ臭く、鼻がムズムズしてくる。
「こ、こんな場所でやるんですか...?」
と僕が不安そうに聞くと、東寺先生は笑い始めた。
「そんなわけないでしょう、私だって嫌ですよ、こんな場所で活動するのは。」
そういうと、先生はおもむろにホコリを被った本棚の2段目にあったちっちゃいスイッチのようなものを押した。
そうすると...
ゴゴゴゴゴ....
と音を立てて教室の真ん中に地下に続くメカメカしい階段が現れた。
「さっ、行くぞ〜」
「えっいや、おかしくない...?」
そういうと颯太も
「なんでこんなとこに階段が出てくるんだよ...」
「おーい何モタモタしてるんだ。階段で降りながら説明するから、行くぞ。」
そういうと、先生は先に階段を下って言った。
「まずな、あの教室は偽装のためにああいう風にしてある。」
「偽装?何のためなんですか。」
「この異常生物討伐コースはね、政府が秘密裏に作り出したコースなんだよ。」
...はい?
と不思議がっていると、颯太が口を開いた。
「でもよお、それだったらなんで全1年生にあのコース決めの紙を配ったんだ?
みんなに配ったら口の緩いやつが
『変なコースがあるっ!』っつって広めちまうかもしれねえだろ?」
確かにその通りだ。
「ははは、まさかそんな馬鹿なことを私たちはしない。あれは、適性者のものしかあの文字は見えなくなっている。」
そうか...!だから僕と颯太しかあの項目を見た時に不思議がっていなかったのか!
って、適正ってなに...?
「まあ、適正とかその他諸々については、後でみんなが到着してから話とするよ。」
「僕たちの他にも、このコースに入った人が居るんですか?」
「そりゃそうだろ、生徒2人と先生1人で活動できるか。
それと、私の他にもあと2人先生がこのコースに就くことになっている。」
「俺たちの他にも適性者とか言うのが居るのか、どんなやつがいるんだかな。」
そして、そうこう話していると階段も終わり、目の前には鉄でできた扉があった。
「着いたぞ。」
そう言って東寺先生は、懐から銀色のカードのようなものを取りだし、扉の横にあったカードリーダーに通した。
「さあ、入ってくれ。」
「す、すげえな...」
「この学校の地下にこんなに大きな施設があったなんて...」
扉を開けたその先には、白い壁で囲まれた研究所のロビーのような場所で、前にはカウンターがあり右には車が1台入りそうなくらい大きなエレベーターがあった。
「そこのカウンターの前の椅子で待っていてくれ。」
「わかりました、東寺先生はどこに?」
「私は他の生徒を迎えに行ってくるよ、こんな場所、絶対分からないだろ?」
「まあ、そりゃそうだな。俺達ふたりで待ってるか。」
そうして先生が上に上がってから30分近く待っていると続々と他の生徒が降りてきた。
そして最後に先生が降りてきた。
「よし、これで全員だな。」
そう言うと東寺先生は壁にあったスイッチを押した。
すると、上からプロジェクターとスクリーンが降りてきた。
「じゃあ、このコースについて説明していこうと思います。
まず、このコースは私達先生、そしてこのコースを選んだ生徒達と1部の人間しか知りません。」
周りにいる人達がザワつく、まあ無理もないか。
僕と颯太だってびっくりしたんだもの。
「何それぇ、どういうことなの?意味わかんないっしょ。
第1、全校みんなに知られちゃってんじゃね?」
わあ、僕たちと同じ質問してる。
そして、そんな同じ質問をしているのは、金髪でピアスまで開けている、theギャルって感じの子。
確か名前は...
「ははは、確かにその通りだね。
いい質問だよ、齋藤百合香さん。」
そうだ、百合香さんか。
「しょうがない、1回説明するよりも見せた方が早いか。」
そう言うと、先生はカウンターにあった紙を取った。
「これは、昨日皆さんに渡したコース決めの紙です。
一番下にはしっかりと異常生物討伐コースと書かれていますね。
これを皆さんに1度配布します。」
配られた紙は、先生の言った通り昨日配られたものと何も変わらなかった。
「では、次にこの眼鏡を配ります。この眼鏡にはある加工がされています。
配られたらかけてみてください。」
配られた眼鏡は何ら変哲のない普通のメガネに見えた。
取り敢えず、着けてみるか...
「あれ?異常生物討伐コースの文字がない...?」
と僕が驚いていると
「よし、みんな着けたかな。
じゃあ、この現象について説明しいてこう。
まず、この眼鏡にはみんなが言う"第6感"というものを、制限するレンズが入っている。第六感とは、例えば霊感とかがそれに入るな。
そして、普通の人間はこのレンズが自然と掛かっている状態にある。
しかし、今ここに居る君達はそのレンズが掛かっていない人間だ。」
「つまり、俺たちはその第6感とかいうやつが強く出ている人間っつうことか?」
「その通りだよ、平良颯太君。
では、次にこの映像を見てくれ。」
そう言うと先生は、壁にあったボタンを押した。
すると、上からプロジェクターとスクリーンが降りてきた。
「では、再生するよ。
ちょっと刺激が強いかもしれないけど、どちらにせよ君たちにはこのようなものと戦ってもらうことになる。」
そして、映像が再生された。
場所は、地下駐車場のように見える。
多分この映像は防犯カメラのものだろう。
映像が10秒ほど経つと、映像左側から1人の男性が歩いて来た、多分車を取りに来たのだろう。
しかし、映像の中央の方に立っていたコンクリートの柱の後ろ側から謎の形容し難いどす黒い赤色の生き物?の様なモノが現れた。
その生き物は、男性に近ずいて行く。
男性はその生き物には気づいていないようだ。
そして、その生き物が男性の目の前に来た瞬間、男性の体をグチャグチャにした。
何が起こったかわからなかったが、一瞬だけ触手のようなものが見えた気がする。
そして、防犯カメラの映像は終わった。
「さあ、これでこの映像は終わりだ。
今見たこの映像は、星城市の地下駐車場で起こった事だ。」
星城市の地下駐車場...?どこかで聞いたような...
「ちなみにこの殺された男性の遺体は、この事件が起こったあと、一般の市民に発見され、警察が処理したことになっている。
ちなみに、ニュースにもなった。」
そうか...!この事件、昨日の朝にニュースになっていた。
何か聞いたことがあると思ったらそういうことだったのか。
でも...
「そうなると、警察は捜査をしてあの異常生物の存在がバレてしまぅんじゃないですか?」
「大丈夫だ、そこら辺についてはその情報処理をするプロフェッショナルが居る。」
と、話していると
「すいません、気持ち悪いのでトイレに行ってきてもいいですか...」
そう言ったのは、ちょっと気弱そうな、眼鏡をかけた隣のクラスの島田光輝君。
「ああ、大丈夫だよ。
確かに少し刺激が強かったね。」
そう東寺先生が言うと、光輝君は足早にトイレに消えてった。
「じゃあ、島田君が戻ってくるまで休憩していてくれ。」
そうして待っていると、颯太が
「お前、よく平気だな...
中々とんでもない映像だったぞ...」
「いやあ、僕は結構ゲームとかやっててこういう血とかが出てくるシーンとかが出て慣れてるから...」
「ゲームと現実って、違くね...?」
「そうかな。」
そんな話をしていると、光輝君が戻ってきた。
「大丈夫そうかな。
よし、では本題に入ろうと思います。」
遂にこのコースの内容について分かる...!
「まず、先程見た映像に映っていたあの生物。
このコースは、あの様な生物を討伐することを目的としたコースだ。」
何となく予想はついてたけど、やっぱりか...
「そして、そのような生物を異常のない世界。
つまり、働く人がいて、幸せな親子がいて、友達がいる。
そんな世界から、遠ざけるためにこのコースが存在している。」
結構とんでもないコースなんじゃないか、これ。
「さらに、そのような異常な生物には様々な種類がいる。
幽霊や妖怪と呼ばれるようなもの、更には雑誌での特集なんかで見た事があるかもしれないUMAと言われるものだ。
皆は嘘だ、とか空想だ。
なんて言うかもしれないが、あの様なものは存在する。」
え、存在するの?
「しかし、だ。
やはり、そのような異常な生物は強く、そして一般の人間では触れることも、見ることも、触ることも出来ない。
まあ、たまに見てしまう者も1割ぐらいはいるけどね。」
じゃあ、意外と本物の写真とかもあるのか...
「だから、第六感を持つ者達を集めた。
そうすれば、見ることも、触れることも、触ることも、そして、戦うことも出来るんだ。」
「でもよ、戦うっつたってよお、あんな化け物みたいなヤツ、俺らみたいなちょっと第六感が強いぐらいの高校生じゃ、どうしようも出来ないだろ。」
「その通りだよ、だから、こういうものを使う。」
そう言うと先生は、ジャケットの内側のポケットから金槌を取りだした。
「これは私の武器だ。
双雲柊斗くん、君はどのくらいの大きさの部屋が欲しい?」
「え?えっと、6畳位ですかね。」
「分かった、では見ててくれ。」
そう言うと、先生は金槌を振り下ろした。
「ひとつ叩いて骨組みを。」
カーンッという音が、どこからともなくした。
「2回目叩いて壁が出来」
また金槌を振り下ろすとカーンッという音が響き渡る。
「建設完了、3回目」
すると、壁に穴が開き6畳サイズの部屋ができた。
「す、すごい...!」
「これが、異常生物と戦うための能力だよ。
勿論、部屋を作るだけが僕の能力じゃ無いけどね。」
「で、でもそんな現実離れした能力、僕達が持っている訳ないじゃ無いですか。」
「ああ、そんなことはわかっている。
だから、まずは君達に能力に目覚めてもらう。」
どうするんだ..?
「まず、君達の深層心理を知る。
本当に好きな事です。」
それだけ...?
「それだけ、と思ったでしょう。
しかし、これが一番大事な事なんです。
人間というのは、自分の好きな事だったら何だってできるし、無限に力を出せるものです。」
「でさあ、結局どうすりゃいいのよ。
もう疲れてきちゃったわよ。」
「そうですね、まず君達にはこの場所に行ってもらいましょう。
この地図に記された場所に向かってください。
右下にはそれぞれの行く時間が決められているのでそれに従ってください。」
ここは...駅前のシャッター街?
こんな場所に何があるんだろう...
取り敢えず言って見ればわかるか。
さあ、お前の武器と能力はなんだ。 海の音 @umi_ne
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