片思い
@hina0410
第1話
毎日同じことの繰り返しでつまらない学校生活の中にも、ひとつだけ楽しみにしていたものがあった。
それは同じクラスいる女子に会えることだった。彼女はクラスの中心人物で、友人も多く成績も優秀だった。
対照的に友人が少なく、クラスの隅にあるような僕にも分け隔てなく接してくれた。
彼女は陸上部に所属していて、こんがりと焼けた茶色の肌に。肩までに短く切られた黒髪が特徴的な元気な雰囲気のある見た目をしていた。
僕のいたクラスはすこし変わっていて、3年間クラスのメンバーが変わらなかったから、人付き合いの苦手な僕も彼女と緊張せず話すことができるようになった。
そんな高校学生生活最後の文化祭で、出し物をすることになり放課後に展示物製作で居残りすることも多くなった。
毎度のことながら、文化祭に間に合いそうになく、部活に所属している人の中からも部活を休んで展示物制作に協力してくれる人が多くいた。
彼女もそのひとりであり、帰宅部だった僕はもちろん展示物制作をしていたため、彼女と放課後過ごすことができた。
だが彼女はクラスの中心人物、多くの友人に囲まれているから、ひとり黙々と制作している僕とはあまり関わらなくて、時折話しかけてくれる程度だった。
文化祭のことや受験のこと、そんなただの世間話だけであったが会話する時間はとても幸せだった。
告白する勇気もないし、成功するわけもなく、告白して好意を知られるくらいならただの友人という関係のままでいたいと、変化を嫌う保守的な性格だからそのまま別の大学に進学して関わりがなくなってしまった。
彼女にとっては僕はただの影の薄いクラスメイトでしかなかっただろうが、僕にとって彼女はつまらない学生生活を照らす太陽で、一緒にいられるだけで幸せだった。高望みはしないし、する必要もなかった。
片思い @hina0410
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます