第九話 起床転結
同時刻。
再生と自壊を繰り返すことで、なんとか世界にその存在を繋ぎ止めていたアスカが、跡形もなくこの世から消え去ってしまったのだ。
資源調査のためこの地に駐在していた大使の一人、巫女アマツは、その前兆にも、アスカの消失にも、全く気がつく事ができなかった。
気がついた時には、平らになった地面から、死の匂いを纏った凶悪なモンスターが這い出ていた。
「王が目覚めた」
絶望的な響きが大地を震わせたように思えた。
巫女アマツは己の全ての力を使って、目の前の厄災から離脱することを選択していた。
戦える相手ではなかった。
その存在は、悪魔の化身であり、冥王の復活を意味することを、本能レベルで身体に深く刻み込まれていた。
亡国騎士ヒズミ
間違いない。
Sランクの
「
魔力のベクトルを
「遅い」
おそらく、アマツの
それは、
遅かったのだ。
でも、それは私の
私がここから逃げ、救援を呼んだとしても、冥王はもう目覚めてしまったのだという事に対しての、全ての人類に向けられた、もう「遅い」、だったのだ。
閉じられる魔力空間の隙間で、不適な笑み浮かべる
そして、無謬の大地に跪く、暗黒の
「はじまりの森…」
一言呟いて、ヒズミは
始めた。
⬇︎⬇︎⬇︎⬆︎
「今、お迎えにあがります」
空気が螺旋状に切り裂かれ、一瞬のうちにヒズミは
目覚めた王がいる、彼が呟いた、「はじまりの森」へと。
せっかく異世界に来たのに、僕は『はい』か『いいえ』しか選べない。 倉科光る @kurahika
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