ランニング

 アリシアはひたすらに走り続けていた。




「はぁ……はぁ……」




 全身を覆う黒いスーツに身を包みながら時速100kmを維持しながら走り続ける。

 このスーツを介して体には9060倍もの負荷が体にかかっている。

 100m進むだけで900km走った相当の負荷だ。

 だが、アリシアは機械的にただ、淡々と黙々と走り続ける。




「はぁ……はぁっ……はぁ……」




 地表の7分の1しかない酸素濃度の中で彼女は死に物狂いで走る。

 意識は薄れそうでも鍛え抜いた精神力で自らの体を服従させる。




「はっ……はっ!」




 だんだん、きつくなっていく。

 無理もない。

 彼女はこの10時間の間に1000km近く走っている。

 肉体負荷を考えると90万kmを走らされている。

 月と地球を1回半往復する距離だ。

 しかも、少しでも速度を落とすとペナルティとしてやり直しを喰らう。




「はっ!はぁっ!」




 息が荒くなる。

 汗が滝のように溢れ、首筋から全身に滴る。

 このトレーニングを対戦相手である自転車を漕ぐロボットのエネルギー切れまで永遠と続けないとならない。

 そして、ロボットに対して速度負けしてもならない。

 

 この条件はロボットが圧倒的な有利だ。

 ロボットは疲労しないのは勿論だが、自転車と言うのは二足歩行の5分の1の力で前に進む事ができる。

 つまり、アリシアは常にロボットの5倍以上を出し続けないとならない。




「はっ!はっ!はっ!」




 アリシアは更にペースを上げる。

 ロボットのエネルギー切れまで後……7777時間……。

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NEXCL 再世女神の超神譚 アリシア トレーニング daidroid @daidroid

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