第弐拾八話 シチュウの繰り返し
〝シチュー〟は〝シチュウ〟。
かよう、「ー」を「ウ」と表記するのが好きだ。
共同通信社『記者ハンドブック』的にはアウトなのだろうけど、まあ
そういえば、むかしむかし某社で社内報を担当していた時、偉い人の年始の挨拶原稿で、「御目出とう御座います」とか「益々」「且つ」などの副詞・接続詞がすべて漢字になっていたのを全部ひらがなにして校正を送り返し、電話で怒られたことがあった。『記者ハンドブック』に従ったまででしてとイイワケした在りし日よ。社内報はあっちを立てればこっちが立たず、気苦労の絶えない仕事であり、こんちくしょうだった。
さて、寒くなってきた&体調が(また)かんばしくないため、今回はシチュウである。
体調不良時にシチュウ……これが一般的なのかどうかは微妙なところかもしれない。よく亡母が具合の悪い時にやわらかく煮たじゃがいもを食べたがったため、その刷り込みなのだろう。肉じゃが(我が家では肉は滅多に使用せず、ツナじゃがとなる。詳しくは『第九話 瞬間、心、砕けて』https://kakuyomu.jp/works/16816452219820509966/episodes/16816452220218299130参照されたし)でも良かったけれど、今回は身体温まる汁物が食べたかった。
シチュウを錬成する時は、大きく二つに分かれる。粉とバターを使うか、市販のルウを使うか。何度かクラムチャウダーを粉とバターで錬成しているので、今日は古式ゆかしきルウを選択。いや、元々は粉とバターなのだろうけど、母が錬成してくれていたシチュウはルウなのであり、懐かしき味はルウなのだ。
ホットクックには自動調理メニューに【シチュー】があるが、無視する。っていうか、もう騙されない。
このメニューの場合「まぜ技ユニット」という部品を付けて自動に搔き混ぜさせるのだが、じゃがいもが入るレシピは要注意だ。上記『第九話 瞬間、心、砕けて』を参照された諸兄にはもうおわかりであろう。
『 離乳食? 猫缶? いや、あたかも──オう、・・・・・・もとい、トシャフ*@?*`=(#”&}>%$$??????????!(自主規制モザイク) 』
──失敗を知っている人間のほうが、それだけ失敗を糧にできる──九話引用(しつこい)。
じゃがいも料理に「まぜ技ユニット」は時に悪魔の翼となりうる。
過去の失敗を知る私に抜かりはない。切った具材とお湯を鍋に投入、手動設定→〈スープをつくる〉→〈まぜない〉で十五分。途中、鶏胸ひき肉に塩コショウして練った即席団子を入れ、具材に火が通ったらルウを入れて〈煮詰める〉機能に変更、最後の五分に牛乳を入れてふつふつ、煮ている間に猫のトイレ掃除・ごはんも完了、舞茸と油揚げの炊き込みご飯、もやしのナムルも同時進行で出来上がり~!
掻き混ぜれば、とろみ艶のあるクリーム色は柔らかな波を描き、いかにも滋養たっぷりに見えて食欲をそそる。
数年ぶりに食べた市販のルウのシチュウは美味しく身体が温まった。おかわりもした。なにしにろ、牛乳を消費せんがため、ルウひと箱分(6~8人分)錬成してしまったのだ。炊き込みご飯は白だしの香り良く、ナムルはしゃきしゃき、満足な夕飯だった。
腹もくちくなくなり、後片付けを済まして、猫らをこたつに誘い入れ、私はさっさと机へと向かった。
時は2024年11月30日の夜、明日は東京文学フリマが開催される。
フォロワーさんもたくさん参加してる、いいな~、私も行きたいな~、いや行こうと思えば行けなくないか……とSNSを舐めるように眺めていた。特に『さなコン2024の小冊子』は欲しい……いや怖い……でも欲しい。一応、『雪盲』という作品で最終選考まで残ったけれど、WEB講評ではどなた様からも言及なく、しょんぼりしていたのだ。それが多かれ少なかれ全作に触れてあるだと──おそがい。
しかし折り悪く、月に一度の二日目大出血、遠出はできそうにない。いや怖いわけでは、本当、いやうん怖いけど。
まあ、今回は見送りで。せめて、私は私の物語を書くべきとポメラを開く。
先週ぐらいまで、どんどん不穏な方向へ突き進む世界情勢やら日本の政治にとても気落ちしていた。語るべき物語も言葉もわからず、SNSへの投稿もひかえめになった。実は一度、今回とは別の第弐拾八話も書いていたのだけれど、どうにも書き切れず、ボツにした。
このままじゃいかんなと思い、わかっていたようで理解が足りていなかった本を自分なりにまとめたり、とびきり面白いであろうファンタジー作品を読んだりと、回復に努めた。まあ、いつもの繰り返しな気がするけれど、螺旋状でも浮上できるならそれで良し。
そんなこんなで、私は私の物語を書こう……あれ、ポメラ暗い。充電切れた? 純正コードで充電しても点かない。長押しすると一瞬点くけれど「電源をオフしています。しばらくお待ちください」が表示されてすぐ消える。
──またなのか、ポメラ!
この二代目ポメラ、購入して一か月ぐらいでブラックアウト、交換してもらったという経緯がある(だから正しくは三代目)。それから約一年半。扱いは丁寧とは言えず、これはもう買い替えかなと思いつつも、一応、メーカーに問い合わせをする。
やれやれ意気をくじいてくれる……と、故障の旨を打ち終わったところ、腹痛を覚えた。生理痛ではない。トイレに駆け込む。
尾籠な話で恐縮だが、思いっきり下した。久しぶりに迷走神経反射のすうっと気が遠くなる感覚を味わった。
心当たりはあった。シチュウだ。数年ぶりのシチュウのルウだ。おかわりまでした。
私は食べ慣れない油分を多めに摂るとお腹を下す。カップラーメンとか。
ルウなんて見た目、油の塊だ。いや企業努力しているのだろうけど。
でも、油(脂)は美味しいに決まっている、わかっちゃいるがきっとまた繰り返すのだ。
ところで、この度、『猫と私とホットクック』にシーズン1、シーズン2と章題を付けた。
シーズン1はエヴァ(TV)の各話タイトル、シーズン2はジブリ映画作品をパクって──もとい、参考にしていこうと画策している(ちなみに今回は『猫の恩返し』から。わかりにくい)。あと二十本以上はあるわけで、道のり長いな、さすがにそこまでホットクックネタ(=失敗談)出ないでしょと思いつつも、お腹のぐるぐる具合をみるにある意味自信がないわけでもない。
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