不幸な連絡そして

加奈の姿が学校から消えて3か月が過ぎた。

俺と利香ちゃんの距離はお互い遠慮してしまって全然縮まっていない。

「ねえ〜 裕二君今晩の花火大会、一緒に行かない?」

利香ちゃんから誘ってもらって嬉しかった。

「行く! 利香ちゃんとならどこでも行く!」

「それじゃ七時に会場の橋で待ちあわせしよ!」

「ウン分かったよ。」

利香ちゃんとデートだ!


浮かれてボッ〜としていたら、電話がかかってきた。

・・・誰だろ?


「もしもし、裕二君ですか?私は加奈の父親の竜也です。」


「・・・はい? 加奈さんどうしました?」


「加奈は今朝、息をひきとりました。裕二君だけには伝えて欲しいと加奈が言ってたので・・・」


「エッ・・・?そんな?」


「加奈は裕二君にボロボロになった私の姿を見てほしくない。と言っていました。」

「そして、“先に地獄に行ってるから死んだら迎えに来てほしい。”と言ってました。」


「わざわざ伝えて頂きありがとうございました。」

「そして、何も力になれなくて申し訳ありませんでした。」


「いえ!今まで加奈を支えて頂いてありがとうございました。」


俺は全身の力が抜けて、ただただむせび泣いた。

泣き疲れてフッと時計を見たら、利香ちゃんとの約束の時間が迫っていた。


さっきまでと違い、花火大会が楽しめるか自信が無かったが、俺は約束の場所に向かった。

橋には淡いピンク色の浴衣姿の利香ちゃんが居て、俺を見つけて手を振って近づいてきた。

「どうしたの?目が腫れてるみたいだけど・・・」

俺は利香ちゃんに加奈が亡くなった事を告げると、利香ちゃんからもポツリと涙がこぼれた。

俺も利香ちゃんもただボォ〜として花火を見上げる事しかできなかった。

花火もクライマックスに差し掛かる頃、利香ちゃんが俺の手をギュッと握りしめて呟いた。

「加奈と最後に誓った事おぼえてる?」


「ウン覚えてる。」


「私が加奈に代わって裕二君を幸せにするから裕二君も私だけ見ていて。」


俺は気が付くと利香ちゃんを抱きしめてた。

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