最後の高校生活

昨日、あんな事があったのに普通に今日の朝がやって来た。

いろいろ考えてほとんど眠れなかった。

加奈と会うとまた泣きそうで高校どうしようか悩んだが休んで後悔したくないので普通に登校してやった。

そんな事を知ってか知らずか・・・

朝から加奈がいつもの様に“企んでるぞ”っていう顔で、キラキラ瞳で俺の所にやってきた。

「放課後、自転車置き場に来て!私、たぶん最後の高校生活になるから、絶対だよ!」

「もし来てくれなかったら、夢枕にでてやるから!」


「分かったよ。絶対行くよ!」

俺は加奈の顔を見ないで背中で返事した。


授業はいつもと同じ様に聴いているのに、全然頭に入ってこない。

それどころか、眠気が今頃になってやってきた。

俺、受験生なのにこんな事ではいけない。

と気がついた時には寝ていた。

しかも2時間爆睡状態。

ウッ?いかん!放課後に加奈との約束が・・

こんな事で後悔なんて一生消えない。

自転車置場に着いたら、加奈と利香ちゃんが待ってた。

「遅い裕二!十分遅刻!」


「ごめん、ゴメン! ところで、利香ちゃんも加奈とお別れに来たの?」


「いい裕二、これから利香とツキアイなさい!そして、私以上に利香を大切にして!」

「それから、たまには私の事を思い出して感謝して!」


なんだか加奈がひとの気持ちを無視している様に思えて

「加奈も利香ちゃんもそんなんでいいのかよ?だって、俺の気持ちはこんなんだぜ!利香ちゃんだって加奈の代わりみたいで・・」


「いいの・・・ 裕二君、全部分かってる。分かってるからいいの・・・」

利香ちゃんは俺の手をとって微笑んでくれた。


「分かったよ加奈、今までありがとう。」

「治療が無事に終わる事を祈ってる。」

「絶対、帰って来てくれ!」


俺と利香ちゃんは握手して加奈を見送った。

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