第9話 魔王は戦闘に備える
俺はアインハルト。魔法のバリエーションが増えた村人である。
昨日は光魔法『ライト』と属性魔法、影魔法『シャドー』を獲得した。
『シャドー』は属性を持つ魔力を吸収するという効果があった。
また、試しに木の棒に放ったところ、影がゆっくりと浸食し木の棒を覆いつくすと崩れていった。
生物に試したことはないが、すぐに全体を侵食することができればかなり強力な技となるだろう。
村に帰ると父とミミの父は村長宅に向かい、森で見たものを報告しに行った。
そうして今日を迎えたわけだが、外出を禁止されてしまった。
「母さん、なんで今日は外に出てはいけないんだ」
「それは言えないのよ」
母に何度か尋ねたが、この調子だった。
おそらく、父とミミの父が森の中で事件性のある何かを見つけたのだろう。そして、子供を心配させないために言わないで、またはぼかして伝え、家から出さないようにしているのだろう。
家から出られないので、影魔法を使い、より強力な影を精製方法を考えていく。
手元に影を出し、いじくりながら考える。
「当てた後に操るにはかなりの集中力が必要だな」
落ちていたホコリに影をまとわせ、崩れる前に操ろうとしたが、影を生み出す以上に神経を使うことが分かった。また、崩れた影は操ることができなかった。
影をよく見ていると、黒いヒモのようなものが見える。しかし、ヒモ同士の隙間は大きく、ヒモ自体も一本ずつが細いことが分かった。
この隙間を埋め、ヒモを太くしていくことが、必要だと考えた。
属性をまとった玉を複数出し、影を大量生産する。
「影をまとめるだけでは強力な影にはならないのか」
「属性の魔力をより強く放出してもダメか」
「まさか、属性は関係ないのか?」
属性に関して、思いついた行動を試したがどれもうまくいかなかった。しかし、影をまとめると、大きな玉が出来上がることが分かった。また、属性の魔力を多く出すと、一度に大量の影を生み出すことができた。
「光の魔法を組み合わせたら強力になるか?」
片手で影の生成を行い、片手に光の玉を生み出す。
それら、影の玉と光の玉を近づける。すると、ぶつかった瞬間に溶け合い漆黒の玉ができた。
「これは、強化されたのか?」
属性の玉をぶつけていくと次々に打ち消していった。
消した数は影の時よりも多くなったため、強化されたとした。
外を見ると暗くなりはじめており、じきに夕飯に呼ばれることを思い出し、実験を中止した。
〜〜〜〜〜
夕飯は順調に始まったが、空気は重いままだった。
重い空気の中、父が話を切り出した。
「明日にでも、森から狼の群れが下りてくるかもしれない」
「......私たちは逃げるべきなの?」
「いや、村から逃げるのは難しいかもしれん。壁から木の槍を突き出してもらうかもしれない」
「わかったわ」
明日は狼が襲って来るようだ。
実験で作成した魔法を試す場がやってきた。
影と、強化した影を用いた戦闘データを収集することができそうだ。
ついでに勇者が実際に行動した場合のデータも集めて、次の模倣に使用できるようにする。
「俺もでるよ。人手は多いほうがいいでしょ?」
「木の槍は重いぞ?」
「大丈夫。いざとなれば魔法もあるし」
「そうか、じゃあその時は頼む」
明日は手に入れた手札をすべて試してみよう。
この結果次第で俺の今後の行動が決まることを確信した。
__________
今回は遅れてしまい申し訳ありません。
GW間に色々やりたいことをやっていると遅れてしまいました。
そして、皆様、応援やコメントありがとうございます。
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勇者にあこがれ軌跡をたどる~魔王適正100%の俺が全てを薙ぎ倒し勇者になる~ AlphaPod @6VIVII7
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