第25話 エピローグ

 一面が白の空間。

 二人の少年が、静寂の空気の中、寄り添いながらひそひそと話している。

 「いい子だったよ。」

 横でニヤニヤ笑う人物を見て、少しむっとする。

 「いい子だよ。だから、傷つけたくなかったんだ。」

 「でも、逞しい。彼女は、君が思っているよりも、正義感が強く、勇気があるよ。」

 ふうっ、大きな溜息が漏れた。

 「僕の方が、きっとダメダメだね。肝心な時に、入院なんて。」

 ベッドに潜り込みながら、悲しい目を隣に座っている人物に言う。

 「ありがとう、一伊兄さん。」

 クスリと笑う兄の顔は、慈愛に満ちている。

 今度は、僕が君を助けたい。

 白い天井を見ながら、思いを馳せるのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ヒーロー オレンジ @nakasublue

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ