朝の告白
部屋の外に響く雷雨。居間で寝ていた香澄はその音で起き上がる。リビングのカーテンを睨むが、何も起きるわけもない。スマホを見ると、朝の5時過ぎだった。1度、目を覚ましてしまうと、もう寝ることはできない。眠い体を立ち上がらせ、洗面所に向かう。鏡には目の下のクマがくっきりとあって、幻滅してしまう。キッチンで、電気ポットでお湯を沸かす。リビングのカーテンを開けると、凄い雨粒が、空から降っている。お湯が沸いて、インスタントコーヒーを注いで、ミルクを入れる。ソファに腰かけ、降りつける雨、じっと、眺めた。何かを壊すような雨音と、地上をたたきつけるような雨粒が、脳裏にたたきつけられていく。
ぼさぼさの髪に、無謀さな顔。
「おはよう」
祐二の顔が、目の前に現れた。
「おはよう」
祐二はいつも起きているのだろうか。いつも香澄は10時くらいまで寝てしまっている。
「今日は、外に洗濯を干せそうにないね」
「そうだね」
祐二が、洗濯機を回す音がした。
「洗濯機、回してるの?」
「うん、部屋の中に干せるでしょう」
毎日、洗濯を回して、何が楽しんだろう。
香澄は仕事を辞めて、途方に暮れているとき、飲み会で知り合った祐二に、少しの間だけ住まわしてほしいと、断れることを前提にお願いした。
祐二は、いいよと軽いと返信が来て、住みついてしまった。それから、3カ月経った。
「住むところは決まった?」
「まだ」
やっぱり、出て行ってほしいのかなと香澄の頭を過る。はやく、次に住むところ決めないとと思っているが、何も調べてはいなかった。洗濯も料理も祐二がやってくれて、この生活が快適すぎて、辞めることができない。
「じゃあ、ここにずっと住む?」
「いいの?」
「結婚してくれるなら」
小説まとめ:歪。 一色 サラ @Saku89make
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