無能パーティから追放されたからテロる事にした。今更謝ったってもう遅い。無様な死に様さらせ。焼けたお前を見てざまぁと嘲ってやる。

白川津 中々

 詳しい事情は省くが俺はパーティを追放されてしまったのだった!


 おのれ戦士クワサン! ちょっと顔がいいからと図に乗りおって! 貴様がいなければ遊び人ケヤンは俺の女だったのだ! オタクに優しいギャルケヤン! どうしてクワサンなんぞと! あぁ許せん! こうなれば実力行使だ! あの脳筋クワサンとクソビッチケヤンをブチコロのコロにしてやる! 極大破壊魔法のロールよし! 退避魔法のロールよし! 敵はギルド酒場にあり! テロル行使にいざ行かん!



 そして到着ルイダー酒場!




 ……おかしい。クワサンはいるが、ケヤンがいない。代わりに佇む女賢者。黒髪ストレートの前髪パッツン。典型的な姫。なるほどそういう事か。俺の抜けた穴に入った姫がケヤンにとって変わったな!? まさしくパークラの姫! ざまぁないなケヤン! 俺を捨てた罰だ! 落ちるとこまで落ちるが……おっとしまった見つかった。女賢者と目が合った。だがまぁ相手は知らぬ相手。見られたところで……え? なーん? なーんでこっち来るの? なーん?


「久しぶりタチウオ。怪我大丈夫?」


「え? あ、だ、誰ですか?」


「私だよ。ケヤンだよ。賢者になっちゃったから分かりづらいかもだけど」


「え? ケヤン? 賢者? え? え?」


「いい歳して遊んでばっかじゃいられないからさ。思い切って転職したの。ところでタチウオは今何してるの? もう一回聞くけど、怪我は?」


「え、いや、フリークエストないかなって」


「え!? 大丈夫なの!?」


「あ、うん。怪我、怪我ね。完治した」


「ならよかった! 無理させた私が言うのもなんだけど、もうあんまり無茶しちゃ駄目だよ?」


「うん……」


「お! タチウオじゃねぇーか! 怪我の調子はどうよ!?」


「クワサン声大きいって……もう治ったって」


「そいつぁいい! また今度一緒にクエスト行こうぜ!」


「ちょっと、無理強いは駄目だよ。今回の怪我だっていきなり深層に進んだからなんだし」


「それもそうか。まぁ、気が向いたら声かけてくれや!」


「うん……ありがとう……」



 去っていく二人。まともに言葉も交わせず、俺はまた孤立。


 本当は追放なんてされていない。固定パーティーを組んだわけでもなく、二人とは野良仲間。俺がクエスト中に怪我をして入院していただけだ。ケヤンとも特別仲が良かったわけじゃない。普通に話して、普通にクエストをしていただけ。極大破壊魔法のロールも嘘。そんなレアアイテム持っているわけがない。俺の人生は何もかもが虚栄に塗れている。虚しい。どうしてこうなった。何が原因で落ちぶれてしまった。自問。されど自答できず。気が付けば頬に一雫。群衆の中一人、孤に入るばかり。友達が欲しい。彼女が欲しい。けれど、どうしたって無理。社会から追放されて然るべき。無能なのは俺なのだ。何かを始めるには遅すぎる。謝ろうにも、謝り方を知らない。ざまぁない人生を歩むしかない。


 風が心に滲み、酷く、冷たい。

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無能パーティから追放されたからテロる事にした。今更謝ったってもう遅い。無様な死に様さらせ。焼けたお前を見てざまぁと嘲ってやる。 白川津 中々 @taka1212384

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