巖桂


つのさはふ岩なすさいはだへなすの花匂ふ香にもしみゝ



◇短歌




 樹皮の犀の肌膚きふを髣髴せしむとて木犀とは言ふめれど、當該樹木の顯著なる性質は其花の香に存するを否と駁する人はあらじ。

 支那にては、之を丹桂、或いは金桂などと稱す。

「桂」はかぐはしき花を生ぜしむる木のいひにて、本朝にて之を「かつら」と訓じ、彼の木を示すは本義に非ず。唯に字を假借して宛てたるのみ。

 又、支那にては、桂花を用いて、茶乃至酒の香料と爲す。

 此花を、能く知りて、能く用ゐ、更に、十全に樂しむの法、支那人、本朝人に甚だまされり。敬すべき哉。





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