聞香惜時


かにかくにさぶしもよかくはなにほふべき幾日いくかのこれる



◇短歌




 春は櫻、あきは金桂。

 櫻は色にのみ匂へど、金桂は小さき黃金くがねの群咲く姿はもとより、姿見えずとも遠近をちこち仄仄ほのほのと漂へる香こそくはしけれ。

 しかるに、さかりは十日に滿たず。

 花の命の短きを憂ふるは古今のならひ

 咲くより既に散るをこそ思はるれ。喜び愛づるに勝りて哀しび嘆く襟懷したごころの遣る方無きを如何にか慰むべき。






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