蹠の槌

あなうらつち雨と降り雨と降り未だ踏まえね動響とゞろに降るも



◇短歌



 いし𢾭ける道の、いしと甃のあはひに、根を延ばして咲ける小菊あり。

 人の往来ゆきゝしげければ、危ふし、誰かは踏みて行くべきをと思ふに、未だ踏まれずてそ咲ける。

 常にさやぎて、一時ひとゝきしづかならぬ境に花を附くるは、何如なる心持なるらむ。

 傍らを過ぐる數多あまたの人の足、さながら、あめより大いなる槌のかたへに落つるが如くあらむ。

 人まねく通らば、さながら、あなうらの雨の頻降しきふれるが如くあるべし。

 さて、異國とつくにの戰、一年ひととせを經て未だ已むべくもなし。

 又、ことなる國內くぬちにも、新たなるあらそひおこる。

 あめより落つる火箭ひやあたりて殺さゆる人も絕えず。

 彼の國の人と小菊と、倂せて思ほゆれば、いた心荒うらさびて堪へず。


https://twitter.com/Surakaki_Hyoko/status/1650479077751668737

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