外に咲むを

むを人こそ見つれうちは固くも凝りてみかつましゞ



◇短歌



 人に向くに常にゑみてするは、いやの始めにて、なよびかにも笑まひてやはらに振舞へる人こそたふとけれ。

 さるを、うち顏容かほばせの如くありや否やと問はゞ、量り難きこともまねくあるべし。

 世の中常に樂しかるべしやは。

 むしろ、厭はしき事ども多きそ、人の世なるべき。

 いにしへの歌に、「人皆か のみや然る わくらばに 人とはあるを……」とあり。

 わくらばに人とはあるをなど憂きのいひなれど、わくらばに人とあるゆゑもちて憂かるべきこともすくなからじ。

 胸裡むねのうちに、人に知らゆるにあたはぬ窘窮たしなみむだきて、顏のみは笑まへる人の、瞳孔まなこの色に心底したなる困窮まどひをえしのばずて、見る人をしてあからしびかなしばしむるあるも、あまねく人の知るところなるべし。


 藪中に大蔓穗の咲けるさま、外は開きて內固くふゝめれば、人の外と內とを思ひ譬へてそ詠みにし。


https://twitter.com/Surakaki_Hyoko/status/1651688024496013312


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る