電光影裏

矛耀ほこかぎともしげ大夫ますらをと思へりしかどかくそぢつる


◇短歌


 魯西亞をろしや隣邦烏克蘭うくらいなる。

 あるいはくなるべしと久しく諸邦憂へたりしかども、よもや斯くはあらじと思へりし人もすくなからずありけむ。

 しかして眞實しんじつは斯くこそなりつれ。

 兔角とかく一彈指いちだんしの先をもえまぬ迂闊うくわつは人の常。油斷ゆだんのち、振返りて、は過ちたりと過怠くわたいを悔ゆるは業。


 無學祖元むがくそげん偈頌げじゆに曰く

   

 乾坤無地卓孤筇 乾坤けんこん孤筇こきようつるに地無し

 且喜人空法亦空 且喜しやきすらく人はくう法もまた空たり 

 珍重大元三尺劒 珍重す大元たいげん三尺のつるぎ

 電光影裏斬春風 電光でんくわう影裏えいり春風しゆんぷう


 無常の大悟に自若たる禪師は知らず。

 覺悟無き凡俗の吾人は、唯〻たゞ〳〵三尺のつるぎの前にいたくも震ふのみ。



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