第122話 あらぬ疑い……かと思ってた
その後、特に問題が起きる事もなく旅は順調に進んだ。
道中、獲物の解体現場にかち合ったリカルドが咄嗟に見ざる聞かざる嗅がざるの三猿防衛を行った結果、一時的に難聴老人のような事になってしまい疲れが出たのかと心配されたり、立ち寄った町で興味本位で買ったソーセージが信じられないぐらい生臭い上に辛くて衝撃を受けたり、宿で間違えて酒を飲んだメルディルスにバート共々絡まれたり、樹に剣舞の練習しますか?と提案されて軽くやっていたら双子が乱入してきて死ぬかと思ったり(死んでいるが)、乱入した双子をメルディルスがゴーレムで捕獲しようとして土砂崩れを起こしかけたり、ケイオスのスキンヘッド時代を知るメルディルスが実は再会してからずっとその変貌ぶりに戸惑って聞いていいものかと悩んでおり、ケイオスが席を外したタイミングで意を決してニケルスにその事を尋ねようとしたら告白されると勘違いしたニケルスが焦って今自分には大事な
という事で五日目の昼に
「すごく綺麗ですね……」
その洞窟がまるで現代日本のトンネルのように滑らかな曲線を描き、しかも壁面全体が濃淡の異なる瑠璃を貼り合わせたような色合いで淡い輝きを放っていたのだ。
つまり、一言でいうと
ゲームや映画などでしかお目にかかった事がない光景に内心、総工費いくらだろう?と下世話な事を考えるリカルドの横で、樹もぽかんと口を開けている。
バート達もここは何度見ても綺麗だよなぁと頷き合い、メルディルスはその反応に少しくすぐったそうな顔をして行きましょうかと足を進めた。
ちなみに双子は興味を微塵も感じておらず先に入って、早くーと手招いている。
「入り口部分は
洞窟内を歩きながら壁面に視線を向けて話すメルディルスに、リカルドはリッテンマイグスとの会話を思い出した。
「違う氏族……たしか
「ご存じでしたか」
「リッテンマイグスさんと話している時に少し出てきたので。名前だけ」
あぁなるほどとメルディルスが頷くのを見ながら、そういえばメルディルスさんはどの氏族なんだろう?と思うリカルド。
リッテンマイグスへの使者になっている事から順当に考えれば
瑠璃から青味掛かった緑へ、そしてエメラルドグリーンになり、その次は黄色味の強いライムグリーンと黄色へと向けて変化していき、そしてある地点で唐突にカットしたトパーズのように細かく光を反射する石を幾何学模様に嵌め込んだ壁面へと姿を変えた。
「ここからは
「……なるほど」
メルディルスが指差したわかりやすいその一筋の境界(自然な濃淡と加工によるキラキラ)はどう見ても『こっからは
単品で見れば宝石の世界のようで確かに綺麗なのだが、今までの幻想的な空気感とは相反するギラギラ感にどう言っていいのか微笑みのまま言葉が出ないリカルド。
「……すごく、輝いてますね」
リカルドと同じようにコンセンプトを急転させた壁面に戸惑った樹が精一杯の感想を言えばバート達は笑い、メルディルスもそういう反応をされるとわかっていた様子で苦笑した。
「この道が作られたのは今から三百年程前と言われているのですが、元々色合いだけを事前に決めて後はそれぞれ好きに作ったんです。その結果、お互いがお互いよりも凄いものを作るんだと意気込んでこのような形になった……というわけです」
協力出来ればいいんですけどねと肩を竦めて歩みを続けるメルディルス。
(互いにライバル視してるから、相手よりもって内輪で盛り上がってこんな感じになっちゃったのか)
歯止め役が不在だったんだろうな……と、リカルドは目がチカチカする壁面を注視しないように洞窟の奥へと視線を向けた。そうして視線を向ければ壁面のキラキラした加工はそのままに色合いが徐々に赤みがかっていくのが見え、
が、
「見ての通り、ここから
ハッキリ言って赤一色のトンネルはリカルドには怖かった。夜中に照らされた千本鳥居みたいで。
(赤の主張、強すぎだろ……)
それでもその内別の色に変わるだろうと蘇りそうになる
体感で三十分以上(実際は五分程度)歩きその扉の前までたどり着いて、土の地肌が見える壁にほっとしたリカルド。
真っ赤でしたねと素直な感想を口にする樹に、真っ赤だったね……と動悸のする胸(妄想)をそっと押さえながらどうにか相槌を返し、嫌な事は忘れようと前を向けばメルディルスが大きな扉に近づいて左下に取り付けられたドアノッカーのようなものを打ち付け鳴らしていた。
「
所属を伝えたメルディルスは向こう側の応えを待つように暫く無言でいたが、何の反応もなく首を傾げた。
「変ですね」
いつもならすぐに反応があるんですけど……と、もう一度手を伸ばした時、向こう側からどこか緊張をはらんだ男の声がした。
「……メルディルスか?」
「あ、はい。そうです。リッテンマイグスを帰還させる予定でしたが諸事情により重要参考人を代わりに連れてきました」
「重要参考人……?」
「魔導士の方です」
「人間なのか?」
「はい。リッテンマイグスから護衛依頼されたケイオスさんのパーティーも一緒です」
見ての通り、とメルディルスが横にずれると小さな覗き窓のようなところからこちら側を確認する目元が見え、リカルドは会釈をした。
ケイオス達もそれぞれ手をあげたり軽く頭を下げたりしたのだが、男の反応は冷めたものですぐに覗き窓が閉められ「待っていろ」という言葉を最後に、また何の反応もしなくなってしまった。
「……変だね」
数秒の静寂の後、
「慌ててるね……あと、揉めてるみたい……」
「何かあったのかしら?」
首を傾げるメルディルスと同じように首を傾げるバート。
リカルドも双子達のようにあちら側の声を聞き取れるかと集中してみたが、大分先に行ってしまったのか複数人で何か言い合っている事ぐらいしかわからなかった。
「さっきの門番はディセルナンだよな?」
「はい」
「だったら俺たちの事は知ってるだろうし、そう警戒される事もないと思うが……」
「リッテンマイグスさんじゃなかったから。とかですかね?」
他に理由が思いつかずリカルドがそう言えば、メルディルスとバートが揃って首を横に振った。
「リッテンマイグスの旦那が代理を立てるのは初めてじゃない。だからそういう問題じゃないと思うぞ」
「なるほど……」
リッテンマイグスさん、誰かを代わりに行かせるの初めてじゃないんだ……と思いつつリカルドはちらっと双子を見た。
初日に
そのままする事もなく雑談しながら待っていると、何やら大きな扉の向こうからいくつも足音が聞こえてきた。
そして大きな扉が開くと、顔に黄色いヘビのような入れ墨をした男達がわらわらと出てきてリカルドやケイオス達を取り囲んだ。
「え?」
いきなりの事に戸惑いの声を上げるメルディルスよりも早くケイオスと樹が、そしてバートとニケルスがリカルドを囲むように警戒態勢をとった。
刃を向けられているわけではないが、短槍を装備した状態で険しい顔をされていれば歓迎されていないのは誰の目にも明らかだった。
「
「待ってください、氏族会議で事実を明らかにするという話では? リッテンマイグスの身柄、引いてはこちらの方の身柄は
「
「
「早く報告へ行け」
「…………わかりました」
状況がわからないメルディルスは束の間迷ってから、リカルドやケイオス達に申し訳なさそうな顔をして「ベル、エレナ」と呼んだ。だが双子は無言で視線を交わすと、リカルド達を囲む包囲をするりと抜け――さらにケイオスと樹の間も抜けてリカルドの腕に抱き着いた。
「私たちはお兄さんといるよ」
「どのみち報告なんて私たちには出来ないし」
「それにお兄さんから結婚してっていう答えをまだもらってないからね」
双子の言葉に、え!?と視線を向ける男達。と、リカルド達。
前者は『結婚をって事はこいつ強いのか!?』という驚きで、後者は『断った筈では?』という困惑だ。
リカルドは一瞬迷ったが状況的に周りの男達を牽制してくれている可能性が高いと判断、とりあえずその方が事を荒立たないで済むかと考え乗った。
「ええ、それは……まぁそう簡単に返せるような事柄ではないので」
「だから
「こっちはお兄さんと待ってるからさ」
メルディルスはそう言われリカルドを気にするように見たが、すぐに双子に合わせるように笑みを浮かべて返した。
「そうね、まだお返事を頂いていなかったものね。じゃあ私は報告してくるからあまりリカルドさんに迷惑を掛けるような事はしないでね」
「わかってるよ」
「そんな事しないって」
いってらっしゃいと手を振る双子にメルディルスは頷いて、周りの男が「ちょっまっ」と言うのを無視してすぐにその場から走り去った。
「で、お兄さん達は
「だったら
口元だけは笑みを浮かべ、そう尋ねる双子に男達は完全に及び腰になっていた。
「お、おい聞いてないぞ……」
「ニーベルグルティとエレナールティがああ言うって事は強いって事だろ」
「どうする……?」
「どうするって……連れて行くしかないだろ……」
「じゃあ
「どうせほとんど使ってないだろうし空いてるよねー」
こちらもこそこそと話し始めた男達を無視してリカルドの腕を抱き込んだまま歩き始めた双子。周りが慌てるのも気に留めず大扉の向こう側の脇にある細い道の先に進み、牢屋らしきところへと入ると戸惑っているケイオス達にも入るように言い、ぞろぞろついて来た男達を急かして鍵を掛けさせた。
「よし。これで文句はないよね?」
「言う通りにしたしね?」
「いや、あのだな……
「さっき言ったよね。私たち、まだ答えを聞いてないの」
「先に話をしてたのは私たちなんだから、こっちの話が先だよね」
牢屋の中から牢屋の外の男達を笑顔で脅す双子。
リカルドは無言になる男達にちょっと同情した。事情はわからないが、こんな超絶ゴリラ×2を相手にするとか死ねと言われているようなものだよな……と。
双子の実力を知っているのだろう男達は完全に顔を蒼褪めさせて「一旦確認してきた方が……」「確認してくる」「あ、待て俺が行く」と、我先にと行ってしまいメルディルスに報告へ行くよう指示した男だけがその場に残った。
「ニーベルグルティ、エレナールティ」
「聞かないよ」
「お兄さん
完全無視の姿勢を取る双子に、リカルドとしても話が聞きたかったので言われるまま防音を張った。
「掛けました。話していただいて大丈夫です」
「ありがと。お兄さん、悪いけどこのままで話すよ。ディが見てるから」
表情は変わらず口元に笑みを浮かべたまま声のトーンを下げた
リカルドもそれがポーズだとわかっているので表情を変えずどうぞと返した。
「エレナは聞こえた?」
「
「「
「反応し過ぎ。あとそれだけじゃないよ。何でかわからないけど、行方不明になったのは
「……なんだそれは……リッテンマイグスの旦那がそんな人攫いみたいな面倒臭い事をするわけがないだろ。だいたいこの里からグリンモアまでどれだけ距離があると思ってるんだ」
どうにか表情を元に戻したバートが困惑を声にのせて言えば、
「そりゃ私だってそう思うよ? だけどそう言ってたんだもん」
「ま。今
「ベルとエレナが?」
そんな事をしたら怒られるんじゃないのか?と尋ねるニケルスに双子はケラケラと笑った。
「怒られるぐらいどって事ないよ。ここがなくなっちゃうのに比べればね」
「お兄さんが反撃したらこんな土で出来た里なんてお終いだから」
お兄さんに喧嘩売るなんてさっきはヒヤッとしたよねー。と笑顔のまま声を揃えて言う双子に、バートの視線がリカルドへと向かった。もとより双子が結婚してと言った相手なので強いのだろうとバートも考えてはいたが、そこまでだったのか?という気持ちと、やる気だったのか?という気持ちが混ざって言葉が出てこず、だがその視線が雄弁に思いを語っていた。
そしてそんな視線をバートだけでなくニケルスからも受けたリカルドは、頭痛(妄想)を覚えた。
「ベル、エレナ。リカルド殿はそのように軽はずみな事をする御仁ではない」
リカルドが里を壊すとかやらないですからと否定を口にしようとした時、ケイオスが先に双子を窘めた。
「そうですよ、仮にやられたとしてもリカルドさんなら無傷で制圧出来ます」
そしてフォローなのか要求なのか微妙な事を言う樹に、いやまぁやろうと思えばたぶん無傷の制圧も出来るとは思うけど……とリカルドは苦笑を浮かべ、このままだと話しにくいなと幻覚を掛けて腕を双子から引き抜いた。
「あ、ちょっと」
「大丈夫です。幻覚を掛けましたから牢の外からは談笑しているように見えています」
「え? ……あ、ほんとだ。全然反応しない」
牢の外に居る男に大きく手を振って確認する
つられてバートやニケルスも同じように確認し、見えていない事が理解出来てはぁと力を抜いた。
「ご理解いただけたようなので、ちょっと状況を確認させてもらっていいですか?
現在、
「そう」
「なんでそうなったのかはわからないけどね」
なるほど。とリカルドは一つ頷き腕を組んで考えた。
「メルディルスさんが里の方と話をして私への疑いが晴れたらいいですが……仮に晴れなかった場合でも逃げるのは悪手ですね。
私だけならまだやりようはありますが、ケイオスさんやバートさん、ニケルスさんに樹くんも関わっている以上共犯と見做される可能性が高く、そうなった場合冒険者としての活動に支障が出かねません。
それに、リッテンマイグスさんも今度こそ強制的に
そうなったら一体誰がラドの鎧やハインツの剣の面倒を見てくれると言うのか。
(そんなの断固拒否。犯人がいるのならちゃんとそちらで責任を取って貰わないとな……)
リカルドは内心仄暗い笑みを浮かべ、双子に視線を向けた。
「ベルさん、エレナさん」
「なに?」
「どうするの?」
「メルディルスさんが私やリッテンマイグスさんへの疑いを晴らしてくださったら嬉しいですが、状況的に一個人の話で疑いが晴れると楽観視は出来ません。ですからお二人には情報を集めてきていただきたいのです」
「……私たちで犯人捜しをするって事だね?」
「いいね、それ。面白そう」
双子は薄い唇を釣り上げて目元を笑みに緩めた。が、すぐに牢の外にいる男に視線を向けた。
「でも私たちが居ないとディが何をするのかわかんないよ?」
「大丈夫です。そちらは何とかしますから」
「何とか出来る?」
「します」
出来るではなく、すると断言するリカルドに双子は一瞬笑みを消してリカルドを見詰め——わかった。と頷いた。
「お兄さんを信用するよ」
「たぶん、お兄さんは約束を守ってくれそうだから」
再び笑みを浮かべる双子に、どの部分がそう見えるのか謎だったが、納得してくれたのならなんでもいいとリカルドは頷いた。
「では幻覚と防音を解きますが、いいですか?」
「うん」
「いいよ」
「三秒後に解きます。三、二、一」
カウントダウンと共に魔法を解けば双子は再びリカルドの腕に抱き着いた。
「えー?」
「どうしても駄目なの? じゃあもういいよ、行こうベル」
「だね。しょうがない。次を探そうエレナ」
双子はパッとリカルドの腕を離して牢屋の外で頭が痛そうにしている男に「おーい出してー」と言って出して貰い、報告に行くよう言う男を無視して「ご飯食べに行こー」と走って行き、男の頬を引き攣らせていた。
「リカルドさん、本当に犯人が見つかると思うのか?」
そして声を潜めて問いかけてきたバートにリカルドは微笑み――時を止めた。
当然だがリカルドだって聞き込み程度で犯人がわかるとは考えていない。あれはあの双子をここから引き離すための方便だ。
リカルドは樹の視界に入らないように場所を移動すると、これで心置きなく調べられると気合を入れて調べ始めた。
(まずは居場所と行方不明の原因を確認して……は? 精霊?)
調べてすぐに行方不明者の居場所は『蠢く大地の精霊の寝床』、原因は『蠢く大地の精霊』とわかり、予想外の相手に開始早々ちょっと思考が止まるリカルド。
(蠢く大地の精霊……って)
確か占いの館に来たよな?とゲル状のミミズみたいな精霊の姿を思い出すリカルド。
そこはかとなく嫌な予感がしながらも続けて調べていくと、その蠢く大地の精霊は酒を収集し同じものを作ろうとする癖があり、以前リカルドから入手した神酒と同じものを作ろうとしてなかなか作れず、酒に最も詳しいと自慢していた
(…………)
先程内心仄暗い笑みを浮かべて、犯人がいるのならちゃんとそちらで責任を取って貰わないと……と思ったリカルドは無言で顔を覆った。俺が犯人の一人じゃん。と。
(いや、でもさ、これはわからないって。大体コンビニとかで酒売ってて、売った相手が酔って事件起こしたとして売った側は責任負えないでしょ? 負えないよね?)
数分前の己に弁明するリカルド。相変わらずブレブレの
(いや、まぁ犯人については一旦置いておこう。考えるとしんどい)
言葉にならない感情を纏めて脇にどかして置いといて、リカルドは
(めっちゃ元気……)
四日前に攫われ昼も夜も関係なくぶっ通しで酒造りの意見を求められているのにピンピンしていた。ついでに言うと『地母神に酒造りで意見を求められるなんて……!』と感涙しながら協力していた。さらにもう一つ言うと地母神が作った他の酒を参考にするため、好きなだけ試飲が出来る環境はまさに天国。ヒヒイロカネの件で氏族会議を開くという予定も忘れているぐらいハイだった。
尚、地母神というのはこの地での蠢く大地の精霊の呼び名であり、精霊信仰の一種なのだが詳細は長くなるので割愛する。
リカルドはなんで酒だけしか口にしてないのにこの人ピンピンしてるんだろう……と思いつつ、とりあえず元気ならこの人はもういいやと今度は里の様子を確認して額を押さえた。
そして一番の問題はリッテンマイグスが所属する
片やウハウハのハイで、片やメンチ切りあう内紛真っ盛り。当人と周囲の温度差が酷い状況に何とも言えない気持ちになるリカルド。
(いや、でもこれなら行方不明の当人を戻せば解決するだろうから――って駄目なのか)
(あと何年かかるんだよそんな事……)
酒を造るのって最低でも一年ぐらい掛かるんじゃないのか?と調べれば、酵母を活性化させてわずか一日で作り上げていることがわかり、精霊ってのはむちゃくちゃな奴だなと思うリカルド(己も実は出来るのでブーメラン)。
それはともかく、一日で酒が出来るのならあと何日程度で神酒が出来るのかと確認すれば、出来ないという結果が出てリカルドは何かの間違えであってくれと目頭を押さえた。そしてもう一度確認して、やはり同じ結果が返ってきて目を閉じた。
(精霊は神酒が出来ないと
あー……もうやだ……。と思考放棄したくなるのを我慢してリカルドは何か道はないかと考え、女神に頼んで手伝ってもらったら?と調べるが精霊と女神は互いに不干渉の関係でそれは望めなかった。
(……じゃあもうなんでもいいから精霊が穏便に
適当に条件を定めず調べたら、パーンもなくケイオスを精霊の寝床へと向かわせるという結果が返って来て動きを止めるリカルド。
(……どういう事?)
なんでケイオスさんを向かわせたらそういう事に?もしかしてケイオスさんが居たら酒が出来るのか?と調べたら、酒が出来ていた。二日で。
(何で??)
(……運?)
まさかの運だった。
そんな運でって……と思いながらケイオスのステータスを確認したリカルドは噴いた。
(LUK69!?)
通常LUKは15から25辺りが一般的である。
リカルドが見て来た中でもLUKは高くて30前後。ケイオスの数値はその二倍であった。
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