第117話 訓練の様子と耳長族との約束
クロへの魔力供給を終えた後はのんびりと過ごしたリカルド。
朝、時間が無くて出来なかったウリドールとの勉強会(という名のただの雑談)をしたり、シルキーに日頃の感謝を何かの形に出来ないかなぁと考えながら(未だに迷っている迷い過ぎのリカルド)庭に積もっている雪を集めて雪だるまを作ってみたり、その雪だるまを見て新たな下僕ですか?とやっぱり勘違いするウリドールに雪遊びという概念を教えたり。そんな事をしていたらあっという間にお昼になってシルキーにご飯(野菜やベーコン、キノコなどいろいろな種類のクロケットとふわふわパンに根野菜のポトフ)が出来ましたよと呼ばれて雪合戦しているのを見られ、いい大人が本気で雪遊びしてしまった……と急に恥ずかしくなったり。
夕方になって樹が帰ってきたところで剣舞の練習のために庭に出て、そこであれってもしかして……と樹に雪だるまを指差された瞬間、街の中のどこにも雪だるまが無かった事に気づいて内心冷や汗垂らしながら雪祭りに触発されて人を作ろうとしたらこうなっちゃったと苦しい言い訳をしたりもした。
そんなアホな事をやって晩御飯(ジャガイモとアンチョビのような塩漬け魚のグラタンと、鶏肉の香草焼きに丸パンをスライスして焼いたガーリックトースト)を堪能した後ルゼの所へと行くと、今度はルゼの進捗が早くてどうしようかと悩むリカルド。一応、魔法の同時使用がある程度形になったら実戦形式に移行しようとは考えていたのだが、まだ仕事で移動中である事を考えると迷惑だろうなと思ったのだ。
どうするかなぁと考えながらルゼを少し離れたところで見守っていると、浅く積もった雪を踏む音が聞こえた。
リカルドが視線を向ければルゼ達が泊まっている集落の獣除けの柵を超え、アイルがやって来たところだった。
「ルゼは――あそこか」
「はい。順調ですよ」
アイルが様子を見に来るのは恒例化していたので、ルゼに視線を戻しながらいつも聞かれる事を先に話すリカルド。
「順調か……」
アイルは何か他の事を考えているような様子で呟き、そのまま二十以上の火球を浮かべているルゼを眺めた。
初日はリカルドの事をちゃんと訓練しているのか監視しているような節があったアイルだが、リカルドが真面目に教えているのがわかったのか、今はもうそういう雰囲気はなくただ静かにルゼを見ているだけだ。
暫く見たらいつも通り戻るだろうと思ってリカルドはそのまま放置していたのだが、この日アイルはなかなか戻らなかった。
訓練は三十分から一時間程度の短い間ではあるが、冷え込む外でじっとしていては風邪を引く。そう思ってリカルドは声を掛けた。
「休まなくてもいいのですか?」
「……え? ……あぁいや、平気」
アイルは鈍い反応で首を横に振るとまたルゼに視線を戻し、少し躊躇うようにリカルドに聞いた。
「……あいつ、聖魔法を教えてくれって言ったりしたか?」
「聖魔法? いえ、そういった事は」
「そうか……」
腕を組み視線を下げるアイル。
聞かれたリカルドの方は、そういえばハインツがルゼは聖魔法や回復魔法に固執してるとか言ってたなと思い出した。
「あいつ、ずっと聖魔法に拘ってたんだよ。だけど
アイルが言わんとするところを察したリカルドは、まぁそうですねと頷いた。
「アプローチの仕方を変えただけなのだと思います。でなければ私に鍛えるよう要求する事は無かったでしょうから」
「だよな……そういう事だよな。
あーもう、じゃああいつ訓練が終わったら探しに行くかもしれないって事かよ……」
死にに行くようなもんじゃねぇかと頭を掻くアイルに、あ。とリカルドは口を挟んだ。
「その件については一応、私を倒してからでないと挑みに行くことは出来ない事になっています。誓約で縛りましたから」
頭をガシガシしていたアイルは動きを止め、リカルドを見た。
「……まじで?」
「はい。強くなれたと思った瞬間飛んでいってしまいそうな気配だったので」
「あんた天才」
「天才……いえ、そのようなものでは」
じゃあひとまず心配しなくていいって事か、と謙遜するリカルドをスルーしてわかりやすく肩の力を抜くアイル。
リカルドもいやいや天才ですよと持ち上げて欲しいわけでもないので、一緒にそこは流した。
「ずっと訓練の様子を見ていたのはそれを心配していたからですか?」
「あー……まぁ、それもある」
「も?」
「いや……」
アイルは視線を逸らすとボソボソと言った。
「ルゼの奴が……どんどん力をつけていってるなー……って、ちょっと羨ましいっていうか……」
羨ましい?と首を傾げるリカルド。
「ルゼさんは魔導士でアイルさんは剣士ですよね?」
畑違いなのに羨ましくなるものなのか?と疑問になるリカルドに、アイルは視線を逸らしながら理由をまたボソボソと言った。
「剣士って言っても、身体強化は常識っていうか……それが使えないと、これ以上上に行けないっていうか……だからみるみる魔法が上手くなるとか、いいなーとかって……」
「身体強化使えないんですか?」
リカルドの遠慮のない一言がグサッと刺さり、アイルは呻いた。
リカルドの言う通り、身体強化が使えずその事をかなり気にしているアイルである。
基本的に上位ランクの前衛は身体強化が当たり前となっているので、Aランクまで来ていてそれが使えないというのはかなり珍しいのだ。
「……魔法の素質がゼロなんだよ……一回ザックさんに教えて貰おうとしたんだけど全然駄目で」
素質がゼロと聞いて、今まで魔力がゼロだった相手を見た事が無かったリカルドは好奇心で鑑定を使っていた。するとアイルのステータスは意外にも師としているハインツよりラドバウトに近く、驚く事に力はラドバウト以上であった。
(なにこの怪力。絶対ラドバウトより筋肉ないだろ。なのになんで??)
理由は単純で、ごくごく薄くだが
(あ、いや、今は筋肉より魔力か)
そして肝心の本人がゼロと言っている魔法に関してだが、確かに魔法に関する技能は何も無かったが魔力はゼロではなかった。
なんだゼロじゃないじゃんと思うリカルド。
「素質はゼロじゃないと思いますよ」
「いやもう慰めはいいって」
あんたが真面目でいい奴だってのは見ててわかったからと空元気で笑うアイルに、ちょっと失礼とリカルドはその手を取って魔力を流してみた。
「え? あ、もしかしてルゼにやってたやつ? 無理無理、本当に俺、何にも……」
「出来ましたね」
握手の形で握った手の上に、小さいが水球が一つ浮かんでいた。
え??という顔で固まっているアイル。
「魔力が動いたのはわかりましたか?」
「…………」
「アイルさん?」
「え?」
「魔力が動いたのはわかりましたか?」
「魔力……って、この、ぐにゃっとした?」
何故か片言になっているアイルに、リカルドは頷いた。
「感じ方は人それぞれですが、今のが感じられたのならご自分でも魔法を使えますよ。まずは今の感覚を掴んで水が出せるようになれば、他の魔法も使えるようになってくると思います」
「…………」
視線は合っているのだが無反応のアイルを見て、あ。これ今説明してもダメだわと思うリカルド。
とりあえず水球を消して手を離し、そのまま固まってしまっているアイルを放置して空間の狭間から紙と羽ペンを取り出し、メモを書こう――として、インクが冷えて固まって書けなかったので温めながら改めて書き、訓練の終わりと共にルゼに説明して預けておいた。
ちなみにだが、この事をザックが知れば発狂する。何故、何故っ、そんな素人のアイルに賢者殿が……!と言って。
一応弁明をすると、アイルの場合は魔法に関しては完全に素人で、リカルドの中ではザックやルゼといった玄人とはそもそもの土俵が違う認識だった。従って『プロに教える=ザックに不義理』という公式に当てはまらず、全くザックの事が頭に浮かばなかったのだ。
まぁ何と言ったところでザックからすると、自分には教えてくれないのに……という気持ちにしかならないわけだが。
時限式ザック爆弾を仕掛けた事にも気づかず占いの館の椅子に座ったリカルドは、狐面を外すといつものようにのびをして、よしやりますか!と札と路地裏を繋げた――瞬間、札からの接続があった。
「ようこそ占いの――」
このタイミングは王太子かなと思っていたら、乱雑に仕切り用の垂れ幕が跳ね上げられて違うと気づいた。
「人間! お前の言う通りにしたが駄目だったぞ!」
勢い込んで来たのは
菫色の髪と長い耳を目にした瞬間、リカルドはそのお客とのやり取りを思い出し思わず机に突っ伏しそうになった。両手を組んで耐えたが。
「そうですか……駄目でしたか」
目を伏せ静かに返したリカルドの声は低く深刻だった。
(つまり、
「どうにか対処すると言ったよな?」
脅すように言う男に、リカルドは時を止めた。
わかっている。一発芸を求められている事は(相手は知らないが)。
だがやはり人間(ではないが)、いざとなると嫌だなぁ……と思うわけで、
そうして調べてみると、予想以上に真面目に取り組んだ結果失敗していた事がわかった。
彼らはまだ幼い子供(
彼らなりにちゃんとやってはいるが、そりゃまぁ大人の
(そういう事じゃないんだよなぁ……)
もうちょっと砕けて話して貰う方法はないのかとリカルドは調べてみたが、なかなか
どうしても聖樹に対する畏敬の念が強すぎて、目の前にすると緊張してしまうというのもあるし、周りで見ているお歴々が気になって日常的な事を話せるような雰囲気にはならないのだ。
(……うーん。これ本当に難しいかも)
さすがにリカルドが一発芸かまして素材を貰うところを見れば、そんな事でいいの?!とはなるだろうが、出来ればやりたくない。なんとか普通に話せる状況に持っていけないだろうかと往生際悪くいろいろと調べてみて、ちょっと強引な方法ではあるがどうにか出来そうな道を見つけた。
「わかりました。それでは参りましょう」
時を戻し徐に立ち上がったリカルドに、
「……本当に出来るんだろうな?」
「嘘は申しません。限定的ですがほぼ頂ける方法を知っています。ですがそれをやる前に私が選んだ方に話をしてみてもらってもいいですか?」
「……選んだ? 誰だ?」
「ヒルタルスさんとヒールティスさんです」
「その二人の話はもうすでに聖樹の前でした。駄目だったがな」
何故その二人の名を知っているのだという疑問は飲み込んで首を横に振る男。
「ええ、存じております。ですから少し幻覚を使わせていただきます。聖樹を前にすると緊張されるようなので、家の前で話をしているというぐらいの気持ちで話せるように」
「……家の前?」
小さく呟いた男は、確かにそんな状況で話してはなかったが……と考えた。そして目の前の
「……変な事はするなよ」
「承知しております。それでは飛びますのでお手を」
手を繋ぐ必要はないが、形式として手を差し出したリカルドに男は眉を
「お前、里の場所を知っているのか?」
「はい。見ましたから」
「……有り得ない」
思わず言葉が漏れる男。
昔なら話は違ったが、
「っ?!」
飛んだ先は、菫色の花が木々の間から藤のカーテンのように枝垂れ下がっている、花の国のようなところだった。
魔物を寄せ付けない
「お静かに。念のため防音はかけましたが、あまり騒がれませんよう」
そう言いつつリカルドは目当ての人物を目視して、男が何か言う前にもう一度転移で場所を移した。
移動した先は聖樹の前だ。そこにリカルドと男、それから足首まで隠れる長いスカートと袖口に
着々と準備を進めるリカルドに、たった一度の転移で遥か離れた里まで――それも人間が知らない筈の里の中に移され動揺していた男は、我に返ってその肩を掴もうと手を伸ばした。
「おい――」
〝あれ? 一人じゃないんだ〟
が、それよりも先に頭に響くような声が聞こえて固まった。
「ええ。今日はちょっと彼らの話を聞きに来たんです」
〝そうなの? あんまり面白いとは思わないよ?〟
生まれて初めて聞く声に、まさか……と思う男。そしてゆっくりと振り返ってみれば、聖樹が僅かに光を纏っていた。
男は声の主が聖樹に宿った祖霊だと悟り(不正解)、息を呑んだ。
「まぁその辺りは聞き方次第じゃないでしょうか」
〝そうなんだ?〟
「一緒に聞きますか?」
〝うん。君が面白そうにしてるから〟
暇だしね。と軽い調子で頭に響く声は言って、静かになった。
だが、声が聞こえなくなっても男は声が出なかった。
今までどれ程呼びかけても祖霊(ではない)の声は誰も聞く事が出来なかったのだ。かつては一族の悩みに耳を傾け助言(ではなく精霊の思いつき)を与えたと言われているが、世界樹を人間に切り倒されてからというもの不甲斐ない子孫に失望(ではなく復讐ばかりを願う
それがまさか人間(ではない)に話しかけるなんて、とてもではないが目の前の現実を頭が受け入れられなかった。
という事で元々の誤解とリカルドに対する誤認が合わさって男は完全停止してしまったのだが、リカルドはこれ幸いと邪魔されない内に女性二人に近づいた。
二人ともぼんやりとした表情で立っているが、丁度井戸端会議のように世間話をしていたところだったので、そのままその流れを利用させてもらうリカルド。
幻覚で周囲を移動する前の場所に見せながら催眠を目当ての話が出るよう調整してから緩めると、あれ?というように二人とも首を傾げて目を合わせた。
「ごめんなさい、ちょっとぼーとしちゃったみたい」
「私も。やぁね、疲れてるのかしら?」
「かもしれないわね、お互い手を焼いてるもの」
一人が笑うと、もう一人もつられて笑った。
「そうね、ほんとそう。毎日毎日、よくあれだけいろいろやってくれるわよね」
「ほんとよ。昨日なんか
「うわ……どうしたの? それ」
「無理。森に返させたわ。確かに毒は無いし無害だけど見た目が……」
「無理ね」
「無理なのよ」
重々しく頷き合う二人。
「ディラン君は? 何か捕まえてきたりしないの?」
「……聞きたい?」
「……聞かない方が良さそうだけど、聞くわ」
女性は深呼吸をして、口を開いた。
「食器を入れてる引き出しを開けたらね、
もう一方の女性がヒッと悲鳴を上げた。
「絶叫しそうになったわ……。何事かって騒がれると思ったから耐えたけど。未だに鳥肌が立つの……」
死んだような目をして話す女性の背を慰めるようにさするもう一人の女性。
「しかもね、怒るに怒れなくて……」
「え? どうして?」
「だって見つけた瞬間、キラキラした笑顔で『珍しいからお母さんに見せようと思ったの』って言われたら……」
「あぁ……」
「とりあえずどうにか逃がして皿を気合で洗って、食器の棚に虫はいれないようにとしか言えなかったわ……」
子供にとっては宝物だったんでしょうけど……と、力無く笑う女性。
「よく耐えたわね……
「いえ、それはそれで無理でしょ」
「……無理ね」
二人は顔を見合わせて笑った。
その後は子供がむちゃをしても旦那は叱らないし多少怪我するぐらいが成長にはいいとか言うしと愚痴が続き、まだ歩けなかった小さな頃がもう懐かしいわと昔話に発展。
小さな手や小さな足、ふにふにのほっぺや大きなお腹、全部可愛くて、自分で自分の顔を叩いてびっくりして泣いてるのも可愛いかったし、旦那のくしゃみにびっくりしてたのも可愛いかったし、とにかく何をしてても可愛かったわとノンブレス気味に語り合い、でも今も今で可愛いんだけどねと苦笑しながら着地した。
「そろそろ仕事しなきゃだわ」
「そうね、ちょっと話し過ぎちゃったかも」
そろそろ終わりだなとリカルドは再び二人に催眠をかけて元の場所へと戻して解放した。
〝あの目玉の奴が宝物なんだ……〟
それは知らなかったな……と話す聖樹の精霊に、リカルドは苦笑して首を振った。
「それは一時的なものだと思いますよ。子供の頃の宝物ってコロコロ変わりますから」
〝そうなの?〟
「大抵は。男の子は虫とか石とか木の棒とか、その辺にあるものが宝物になるので」
〝じゃ女の子は?〟
「女の子は……人形、毛布、絵本、綺麗な石とか、そういうものでしょうか? 私もそちらは詳しくないのでわかりませんが」
〝そっかー〟
「ところで対価はいただけたりします?」
〝対価? ……あ、そういうこと?〟
「そういう事になります」
リカルドが頷くと、聖樹の精霊はくすくすと笑った。
〝そっかそっかー。そういう事なんだ。まさか君にお願いするとはね。君の正体を知ったらすごくびっくりするんじゃない?〟
「だと思いますよ。なので黙っていてもらえますか?」
聖樹の精霊が自分の正体を言葉にしないという事は確認済みのリカルドである。
安心して答えていると、聖樹の精霊は爆弾を落とした。
〝もちろんいいよ~。なんて言ったって君は新たな世界樹を生み出した存在だからね。あれを敵に回すような事はしないよ~〟
それまで微動だにしなかった男が、新たな世界樹!?と目玉が零れそうな程大きく目を開きリカルドを凝視した。
そしてリカルドも、何言ってくれてんのコイツ?!と内心ぎょっとして聖樹を凝視した。
「……とりあえず対価を早めにいただけますか?」
精神耐性の高さで男よりも早く我に返ったリカルド。だが誤魔化す言葉が出て来ず、とりあえず早く出せとカツアゲのように聖樹に近づけば、ばさばさとその場に枝葉が落ちて来た。
〝しずくは器がないと無理じゃない?〟
「じゃあこれに」
と言って空間の狭間から出した瓶に雫を垂らして貰い、リカルドはそれを凝視してくる男に視線を合わせないようにして差し出した。
「どうぞ、今のような話で十分ですので二三人仲の良い方を連れて来られて話をしてみてください、駄目な時もあるかもしれませんがどれかが当たるかと思います。子供を直接連れてくるのも有効な手段ですから困った時はそうされてもいいです。と言う事で依頼は終わったものとしてこれで私は失礼します」
「ま、ま――」
ノンブレスの早口で言って、何か言おうとする男に瓶を押し付けリカルドは
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